尼ケ坂「延命地蔵菩薩」

名古屋市北区大杉1

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白壁の秋葉宮​から名鉄瀬戸線尼ケ坂駅に向かう途中、高架沿いを走る道端に赤い幟が立っています。
尼ケ坂駅前から西を注視すると見えるかもしれません、尼ケ坂駅の南の交差点から歩いて2~3分程です。

f:id:owari-nagoya55:20200228075908j:plain尼ヶ坂延命地蔵菩薩を安置する小さな地蔵堂です。

f:id:owari-nagoya55:20200228075933j:plain堂前に「尼ケ坂延命地蔵菩薩」の複数の奉納幟が立てられています。
古くからここに暮らす地元の方々から、今も慕われ、地域のコミュニケーションの場として欠かせないもの、幟の数はそれを物語っています。

f:id:owari-nagoya55:20200228075955j:plain堂の左に手水鉢が置かれています、側面に寄進者伊藤萬蔵(1833~1927)と彫られているようです。
某神社を訪れた際、地元の老人から「ここの狛犬は伊藤萬蔵さんが奉納してくれたもの・・・・・」と教えられた事がある、その方の名をここで改めて知る事となった。
この方、名古屋城下塩町で「平野屋」の屋号で開業し財を成した方で、狛犬や灯篭など多くの寺社へ寄進された方だという。
荒廃する小さな社を見かけることも多い、現代の伊藤萬蔵さんはいないものだろうか。

開け放たれた堂の扉から中に入らせてもらいます。

f:id:owari-nagoya55:20200228080020j:plain最初に目に入るのは壁一面に安置された菩薩や地蔵さん。
赤い前掛けに帽子を被った像や座布団の上に座るものなど様々な像が安置されています。

f:id:owari-nagoya55:20200228080045j:plain手前に目をやると、天井から吊るされた多くの奉納提灯と赤い幕が吊られています。

f:id:owari-nagoya55:20200228080108j:plain奉納提灯は「南無延命地蔵大菩薩」
小さく、狭いお堂に多くの方がお参りに訪れ、崇拝されている事が奉納提灯の数からも伝わってきます。

f:id:owari-nagoya55:20200228080132j:plain中央の像が「延命地蔵大菩薩」

f:id:owari-nagoya55:20200228080156j:plainどこまでも穏やかなその表情は、眺めているこちらの気持ちも妙に穏やかにしてくれます。
騒がしいいこの頃、こんな時こそ穏やかで冷静な振舞いをすべきと示しているかのようです。
地蔵菩薩は安産、健康、長寿、智恵、豊作、求財などにのご利益があると云われていて、壁に掛けられた手書きの解説に「みなさんのお地蔵さま」と書かれているように、地域の身近な仏様なのかもしれません。

f:id:owari-nagoya55:20200228080220j:plain中央の座像は「光明菩薩地蔵」

f:id:owari-nagoya55:20200228080244j:plain延命地蔵菩薩の左側のお地蔵さまは前掛けはなく、しっかりと彫られた像の全身がよく見られます。
静かに目を閉じ穏かな表情をしています。

f:id:owari-nagoya55:20200228080307j:plain延命地蔵菩薩の右側には五鈷杵を持つ弘法大師像が安置されています。
これらの像の年代や、いつからここに安置されているのか、諸事情でここに纏められたものなのか詳細は分かりません。
伊藤萬蔵さんの生没年から、寄進したのが大正頃として、その頃が堂の建立時期なのか?
このあたりの事は管理されている大杉の普光寺で尋ねると分かるのかもしれません。
見るものに何かを教えてくれるお地蔵さま達に、新しとか、古いとかは必要ないのかもしれません。
おやじが地蔵さまから感じたのは「周りに惑わされることなく、冷静に振舞いなさい」でした。

尼ケ坂延命地蔵菩薩」
住所 / 名古屋市北区大杉1-21-7
公共交通機関アクセス / ​名鉄瀬戸線「尼ケ坂」下車、西に2~3分