「天王社」大牧町

守山区大牧町天王社

ほんのひと昔前は緑の残る小高い丘陵地、そうした事から自衛隊の駐屯地等などがある。
今やガイドウェイバスの高架が聳え、高層の集合住宅や民家がそれを取り囲み、若い頃に走り回ったテニスクラブも見つけられない程環境となり、久し振りに歩いて見て随分と様変わりしている事に驚いた。
道路整備もひと段落し、今も新たな住宅が建つ元気な街だ。

f:id:owari-nagoya55:20200301113347j:plainガイドウェイバス「金屋」駅で降車し、金屋交差点方向へ。
この「金屋」という地名、このあたりに鋳物師達の住居が所在した事から付いた地名と云われます。

f:id:owari-nagoya55:20200301113410j:plain 県道30号線、通称関田名古屋線が走り、その上をガイドウェイバス(ゆとりーとライン)の高架が空を覆い、バス停とは思えない停留所が道路の中央に建つ。
今回は金屋を起点にして東に続く緩やかな坂道を経て小幡方向に歩いて見ました。

f:id:owari-nagoya55:20200301113433j:plain 交差点から坂を上り切ったあたりの市バス「大牧町」停留所が目的地、ここまで5分程歩いただろうか。
ここ大牧町は意外に新しい町で1990年(平成2)に大字大森垣外、大字牛牧、大字小幡、大字金屋坊、金屋2丁目の各一部が一つとなり、守山区大牧町として誕生し、町名の「大」は大森から、「牧」は牛牧から一字を引用したものだといいます。

f:id:owari-nagoya55:20200301113459j:plain 停留所あたりから道路北側を見渡すと、新しい住宅が立ち並ぶ一角に小さな社が祀られています。
大牧町の天王社です。
新しい玉垣で囲われ、更にアルミフェンスで玉垣を囲っているので、社の存在は前にこないと気付かないかもしれません。
周辺の天王社に赤い社が多いため、車窓から赤い社を探していたりすると意外に見落とす事になるかも。

f:id:owari-nagoya55:20200301113525j:plain 左には整地された空き地、右には新しい住宅があり、社地はその住宅の一部に設けられている。
恰も個人でお祭りされた社のようにも見えます。
敷かれた玉砂利や石の台座も新しく、その上に板宮造の社が祀られています。
小さな境内ですが、手入れされた綺麗な印象を受けます。

f:id:owari-nagoya55:20200301113551j:plain 歩道に面し、陽当たりの良い場所に祀られています。
地元の老人の方が、通りがかりに拝んでいかれる光景を見ました。
ここに来て拝むことが日課になっているのでしょう。
そうした光景を見る度に、そこに祀られた神社と地元の方の結びつきの強さみたいなものを感じます。

この天王社がいつからここに祀られているものか、定かではありません。
今ほど道は整備されていなかった記憶から、この道を好んで走らなかった事もあり、社の存在を知ったのも最近のこと。
駐車場はなく、歩きの時に訪れようと思いながら延び延びになっていました。

f:id:owari-nagoya55:20200301113618j:plain 注連縄に真っ白な紙垂が飾られた社。
身近にあるけれど、歩道がある日常とここは違う特別な空間ですよと語っています。

梁に立派な角のある龍の透かし彫りや、細かなところも彫が施され、金色の飾り金具も使い小さいけれど少し奢られた社。

f:id:owari-nagoya55:20200301113650j:plain 山王社の東から金屋方向の西の眺め。
見上げるように高いガイドウエイバスの高架が下に見えるほど。
東谷山から続いた丘陵地も、ここから西にかけ緩やかに下り、矢田川庄内川の氾濫による水害が付きまとい水屋の知恵が生まれた瀬古方向へ続きます。
それに比べてこの辺りは恵まれた丘陵地、なので古来より人が生活し瓢箪山古墳などにその痕跡を留めています。
この天王社の詳細は分かりませんでした、次につなげる意味からも、簡易の解説があるといいのだが。
意味を持って祀られた社、街角のこうした社が朽ち果て、忘れ去られていく光景を目にすると、なくしたものは単に社以外にもあるような気がしてならない。妙に寂しい気がします。
ここ大牧町の天王社は訪れる方も見え、大切にされている、これからも受け継がれていく社かも知れません。

「天王社」大牧町
創建 / 不明
祭神 / 不明
住所 / 名古屋市守山区大牧町6
公共交通機関アクセス / 大曾根から「ゆとりーとライン」​金屋駅で降車、金屋交差点から東に5分程

丘陵の頂から南へ向かうと地味なアップダウンが続き、瀬戸街道に至ります。
次はここから南方向にあるはずの、昔通ったテニスクラブを探しつつ自衛隊駐屯地に向かいます。