屋根神さま

2020/07/10
この日は珍しく梅雨らしく穏やかな雨が降っていました。
ここは東区橦木町、お城と共に発展してきた街で、当時の香りを漂わせる武家屋敷の名残や日本で最初の女優と云われる川上貞奴邸(東二葉町より移築復元)がある地域でもあります。

f:id:owari-nagoya55:20200720214504j:plain県道215号線の出来通りにある「中産連ビル前」交差点から南に入った筋が上の写真です。
周囲の景色を写し込む道の光景は情緒さえ感じる。
江戸時代の町割りが残り白壁筋、主税町筋、橦木筋が東西に延びて筋沿いは、趣のある門や塀が残ります。

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交差点から5分程南に向かって歩くと右手に日蓮宗の遠霑山妙道寺の山門が見えてきます。
山門右手の石標に「尾張藩士 禄5百石 高梨五左衛門邸跡」とある。

高梨五左衛門は高梨家八代にあたり1816年~1869まで尾張藩に仕え、日蓮正宗の信者でもあったことから、九代政道により妙道寺へ土地を寄進したという。
1881年(明治14)、その跡地に建てられたのが妙道寺。
名古屋城の東にあたるこの周辺にはこうした中級武士の屋敷が立ち並んでいた。

f:id:owari-nagoya55:20200720214610j:plain妙道寺から南の眺め、先に見える木々は山吹谷公園で公園の前を左右に伸びる筋が橦木筋。

f:id:owari-nagoya55:20200720214635j:plain閑静な住宅地が立ち並ぶ一帯には棟続きの懐かしい住宅も留められています。
ひと昔前はこうした住宅が連なっていたのだろう、その多くは建替え、或いはぽっかり空いた空間は月極駐車場に姿を変えました。
人が集まればその地域ごとに屋根神さまも祀られていきます。
ここの軒下にも嘗て屋根さまが祀られた名残を見ることができます。

f:id:owari-nagoya55:20200720214711j:plain通りからしばらく眺めていましたが社の姿はみられません、ひょっとすると既に廃社となり外観だけで社はないのかもしれません。
情緒のある棟続の住宅の軒下、ここに町の移り変わりを見続けて来た屋根神さまがいたことを教えてくれています。

そぼ降る雨の中に佇む棟続の住宅と屋根神様の光景、情緒があっていいものです。
いつまでも残っていけるといいのでしょうが、そうはいかないんだよね。

屋根神さま 
住所 / 名古屋市東区橦木町2-22
公共交通機関アクセス / 市営地下鉄桜通線「高岳」下車、北に10分程