熊野三山を巡る「那智御瀧飛瀧神社」

熊野三山詣も熊野那智大社青岸渡寺と参拝し、三重の塔から徒歩10分~15分程谷筋に下って那智御滝飛瀧神社で一応コンプリートとなります。
裏参道から飛瀧神社までは下りばかりなので楽だろうと思いきや最後の最後まで道のりは楽ではありませんでした。

f:id:owari-nagoya55:20210602084141j:plain境内と一般道を結ぶ舗装された連絡道を歩くのはほんの僅か、すぐに裏参道に入ると写真のような看板、

看板は助かるが、奴は事前に「ここにいる」とは教えてくれない。
いつも突然黙って現れる。長いものは嫌いだ。
そんな怪しい空気も正面に見える那智の滝が忘れさせてくれる、事はないか。

f:id:owari-nagoya55:20210602084205j:plain降り始めてすぐに庚申塔が現れる。

車で移動すれば楽なんだろうが、もう少し熊野古道を体感していこう。

f:id:owari-nagoya55:20210602084225j:plain三重塔近辺から裏参道を歩き飛瀧神社に向かいます。

参道は連絡道路を横切りながら下へ続きます、五町石から見上げると、このような感じです。

f:id:owari-nagoya55:20210602084242j:plain伏し拝み

ここは「那智御瀧飛瀧神社」の遥拝所。
五町石後方のこの辺りには往古の礎石が残る、毎年7月14日熊野那智大社例大祭(扇祭り・那智の火祭り)ではこの場所で扇建て神事が行われる聖地。
ここから飛瀧神社に向かう石段は鎌倉積みの石段が面影を留め、道はここから少し険しい表情に変わる。
昨日のゴトビキ岩への道のりに比べれば楽なもんでしょう。

f:id:owari-nagoya55:20210602084301j:plainしばらくは杜の中に続く石段と周囲の樹々の間から時折姿を見せる滝だけの視界の狭い静かな古道の世界が続きます。

やがて視界は一気に広がり、茶店や車が行き交う車道が現れます。
ここは「那智の滝前」のバス停、駐車場もあり、車で容易に訪れることが出来るので参拝客も多く、現実の世界に戻った感じ。
道路は大きくカーブし、「那智御瀧飛瀧神社」鳥居はその曲がり角に見えています。

f:id:owari-nagoya55:20210602084317j:plain鳥居脇の解説。

大雲取連山は那智48滝と云われ多くの滝があります、その中で一番の落差を誇るのが「那智御瀧」。
高さは133㍍で滝口の幅は13㍍、滝壺の深さは10㍍以上とある。
御瀧そのものが大己貴命が現れた御神体としてお祀りし、熊野の神様は元々ここでお祀りされたという。
那智御瀧飛瀧神社」は熊野那智大社の別宮。

f:id:owari-nagoya55:20210602084336j:plain鳥居をくぐり、角の取れた石段を参道を降りていきます。

f:id:owari-nagoya55:20210602084352j:plain杉木立の薄暗い杜の先に陽光に照らされた那智の滝が迫る。

ここが最後の石段、立ち止まって滝を眺めたい。

f:id:owari-nagoya55:20210602084410j:plain多くの参拝客が踏みしめた石段を下から振り返る。

石段を下り切ると写真の「光ヶ峯遥拝石」
「熊野の神様が降臨したと伝わる御山、那智山熊野信仰の原点。
この石は原点の地「光ヶ峯」に通じ、ここは遥拝所として重要な場所。
この石を撫でると原点の御力を頂ける事が出来ると伝わる」

この不思議な石を1回撫でると縁結び心願成就、2回撫でると金運隆盛・家庭安全、3回撫でると厄除け・身体健勝に御利益があると伝わり、その御利益を得るため古くから撫でられて来たのだろう、石の表面は角が取れ滑らかになっている。

f:id:owari-nagoya55:20210602084435j:plain那智御瀧飛瀧(ひろう)神社」と那智の滝全景。

滝そのものが御神体なので、ここには拝殿や本殿はありません。
滝の音だけが聞こえてきます。

f:id:owari-nagoya55:20210602084454j:plain遥拝所から見る那智の滝

見あげるような岩壁の上から白い筋となり流れ落ちる水。
はかり知れない自然の力を目の当たりにするとこの場所に神の存在を感じるのは当然だろう。

主祭神大己貴命 社格熊野那智大社別宮。
本殿や拝殿もなく、直接滝を拝むこととなる。

f:id:owari-nagoya55:20210602084515j:plain滝の飛沫に触れることで延命長寿の霊験があると云われるそうです。

更に滝を間近で感じたい、そうした方は有料になりますが飛瀧神社遥拝所に行くことができます。

f:id:owari-nagoya55:20210602084533j:plain境内は流れ落ちる水が空気を震わせ、マイナスイオンが溢れています、心が落ち着く世界。

左の木立の中に朱塗りの遥拝所が見えています。
瀧を感じる極め付きは「御滝注連縄張替式」ですね。
新たな年を迎えるにあたり、あの滝口に架かる大注連縄は張り替えられますが、想像しただけでも身震いする。

f:id:owari-nagoya55:20210602084550j:plain南紀熊野ジオパーク解説

あの岩壁の成り立ちが分かりやすく解説されている。
今でこそメカニズムが紹介され「なるほど」と思うが、太古の人がこの地に踏み入り始めて目の当たりににした時、仰ぎ見る高さから空気を揺るがし流れ落ちる那智の滝の姿は、私達見る滝とは違う神々しいものだっただろう。

f:id:owari-nagoya55:20210602084609j:plain大門坂駐車場から延べ3時間半~4時間、自ら我慢して極めたからこそ、こうして見る光景に何か特別なものを感じる事が出来る。

f:id:owari-nagoya55:20210602084625j:plain

途中「茶房珍重庵」で「もうで餅」を食べたりして歩いていたので9:00に駐車場を出発、再び戻ってきたのが12:30を過ぎていました、じっくり回ると1日がかりだね。
自然を感じなから杉木立の古道を歩き、自然の力強さの中に不思議を感じることが出来るのが熊野三山かもしれない。
因みに飛瀧神社から駐車場まではバスで降りてきました。
これで当初の目標は達成した、時間を見ながらもう一社参拝して行こう。
2021/2/22

那智御瀧飛瀧神社
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
三重の塔から徒歩ルート / ​10分~15分
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