戸隠神社 奥社 九頭龍社

2021/06/23~25
キャンプメインで戸隠神社を巡ってきました
今回は戸隠イースタンキャンプ場から車で5分程の戸隠神社奥社を掲載します。

f:id:owari-nagoya55:20210724200633j:plainキャンプ場から近いこともあり、まずはキャンプ場にテント設営、ランタン含め装備をセットしてから奥社駐車場(有料)へ向かいました。
天気はいつ降り出してもおかしくない状況ですし、ただでさえ大食いの車なので身軽にしてから移動という事です。
大鳥居へは写真の駐車場からまっすく進めば、さかさ川沿いに鳥居前に至ります。

f:id:owari-nagoya55:20210724200651j:plain戸隠神社は、信仰の山「戸隠山」の麓に鎮座する奥社、九頭龍社、中社、宝光社、火之御子社で成り立ち、それらを参詣する事を戸隠神社五社巡りと呼ばれています。
今回はそのうちの奥社と九頭龍社を目指します。

戸隠神社奥社大鳥居
さかさ川に架かる橋を渡れば左側に下馬石がある。
そこから先は、例えガースーだろうがマスクの人だろうが、忖度なしに馬から降りなければいけない。

f:id:owari-nagoya55:20210724200708j:plainさかさ川 
鳥居前を流れる細い渓流で、清らかな流れの中には岩魚の姿も見られます。
殺生禁止という事もあり人影を見ても隠れる気はないようだ。
河畔には茶屋があり奥社からの帰りには一息入れることが出来る。

f:id:owari-nagoya55:20210724200723j:plain鳥居左奥に「一龕龍王の祠」
右に一枚岩の大きな社標が建ち、こんもり盛り上がった高みに石段が作られ、その先に苔むした小さな祠が祀られています。

干ばつの時に黒姫山登山道の脇にある「種池」の水を汲んで雨乞いをすれば、必ず雨が降ると信じられていて、「種池」の主とされる「一龕龍王」がここに祀られている。
由緒は分からないけれど、今も6月の「種池祭」では、この祠と「念仏池」、「種池」で神事が行われるそうだ。

念仏池は滞在中に訪れたが、朝霧に包まれた森のなかに佇む小さな池、底から脈打つように水が湧きだす光景は自然の息遣いを目の当たりにすることが出来る。
この山自体が息づいている、そう感じる事間違いない。
ただ感受性が違えば「ただの池じゃん」となるかもしれない。(近く掲載予定)

f:id:owari-nagoya55:20210724200742j:plain参道を進み奥社に向かいます。ひたすら真っすぐに続く参道は鳥居から2㌔続きます。
この参道ただ真っすぐなだけではなく、冬至立春には太陽が真っすぐに昇るように仕組まれているという。
とにかく静かだ。
聞こえるのは踏みしめる足音と小鳥のさえずり、森を吹き抜ける風の音、そして風に吹かれ、時折聞こえるクマ笹の葉が擦れ合う「ガサ〃」。

f:id:owari-nagoya55:20210724200758j:plain大鳥居周辺で見かけた案内板、バリアフリー遊歩道も整備され水芭蕉の時期には良いかもしれない。
良くないのは右の看板、一応御呪いのつもりでクマよけの鈴は下げてはいるが、これは致し方ないだろう「人出没注意」として避けてくれれる事を祈るしかない。
取り敢えず「いるよ」

f:id:owari-nagoya55:20210724200815j:plainもうひとつ
左は大鳥居付近の参拝案内図と右は熊出没注意看板。

かつては戸隠山顕光寺と呼ばれた戸隠神社、そこに続く道は戸隠道呼ばれていたという。
戸隠山は修験者によって開かれ、後に大衆の参詣道として、そして流通道としての役割も担い整備されていった。
参拝案内図によれば奥社までは2㌔の参道を40分ほどかけて登っていきます。
大鳥居から隋神門まで1㌔15分、隋神門から奥社までが1㌔25分とある、平坦に見えるこの参道は随神門から先は過酷になる事を意味しています。
こんな天気の時はトレッキング並みの足ごしらえは必要かと思う。

この長い参道のチェックポイントはやはり随身門となるだろう。
杉木立に覆われ緑あふれる参道は静まり返り、厳粛な雰囲気に包まれている。
参道脇には杜の歴史を伝えるように朽ち果てた株を苔が覆い、次の杜を担う新芽が根を張っている。

f:id:owari-nagoya55:20210724200836j:plain「後で拡大すればいい」とろくに読まなかった石碑の碑文、甘い考えでした。
どうやっても読めない、参道脇にはこうした石碑や塔、石仏が見られる。

f:id:owari-nagoya55:20210724200856j:plain歩きはじめて20分、鳥居から1㌔地点に朱塗りの随神門が現れる。
その手前には大きな狛犬が一対。

f:id:owari-nagoya55:20210724200914j:plain大きくて貫禄のある狛犬です。
苔むしてなんぼの神域にあって図体は大きいがまだまだ経験不足。

f:id:owari-nagoya55:20210724200931j:plain神仏習合時は仁王門として仁王像が安置されていたと云います、今は左右に随神を安置した随神門となり、神域に立ち入る邪悪なものから守っています。
建立は1710年(宝永7)の建立とされ、茅葺き入母屋造りの三間一戸の八脚門。
戸隠神社の伽藍の中でも最も古いとされる建造物。

f:id:owari-nagoya55:20210724200949j:plain茅葺屋根は萱を台地として根付いた緑が生い茂り、年月を感じさせる。
個人的にはシダの緑がとても新鮮で趣きがあり好きなんだけど、これはそろそろ葺き替え時期のサインでもある。
額は「随神門」

f:id:owari-nagoya55:20210724201005j:plain随神が訪れた者に睨みを利かせている。

f:id:owari-nagoya55:20210724201021j:plain上は戸隠神社御本社復興記念
参道左右には細い流れがあり、それらの周囲には既に巨大な葉っぱと化した水芭蕉も自生しています。
下は参道左の奥社院坊址案内板。
随神門の奥側左右に850年(嘉祥3)以来戸隠権現に奉仕した嘗ての院坊址が点在する。
明治政府による神仏分離に伴いここにあった院坊は中社、宝光社として移転していった。

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戸隠神社社叢案内板
戸隠神社奥社社叢は、戸隠神社奥社(江戸時代以前は戸隠山顕光寺奥院)の境内地として400年にわたり保護管理た社叢林である、授僕の伐採が禁じられてきたため原生林に近い稀有な森林植物相を持つ貴重な森である、随神門から先の参道沿いは江戸時代初期に挿し木により植樹された200本を超える杉の巨木が並木をつくり、人為と自然が年月をかけて融合し一体となった姿を見ることができる」


戸隠神社信仰遺跡案内板
戸隠神社は奥社・中社・宝光社の三社からなっている。
平安時代から修験道が行われ、日本有数の霊地として知られる。
縁起によると学問行者が修験を始めた年代を849年(嘉祥2)としていて、これが戸隠寺(奥院)の起源とされる。
1087年(寛治元年)に中院が開かれ、明治の神仏分離により寺を廃し、奥院・中院・宝光院を奥社・中社・宝光社と名称を改めた。」

f:id:owari-nagoya55:20210724201107j:plain戸隠神社社叢
参道脇はこうした巨大な杉並木が続く。

f:id:owari-nagoya55:20210724201126j:plain奥社に向け参道を進んでいくと杜の中に様々な石碑や塔、院坊址が残っています。
左上
「大乗妙典一字一石書写碑」1751年(寛延4)
宝篋印塔入口付近の参道右側の少し高みの茂みの中に埋もれています。
「大乗妙典」とは法華経のこと、「一字一石」は経文の一字を小石に書き留め、それを地中に埋めた供養塔。
右上
「宝燈国師母公 祈願観音堂跡 宝篋印塔」
参道左に建ち、ここから先に宝篋(きょう)印塔があるらしいが、踏み込めなかった。
右下
法華多宝塔、1705年(宝永2)奉納された六角柱の塔、各面に梵字と「為大衆説、妙法華経」などの文字がが刻まれていますが。足元が悪く傍に近寄れなかった。
左下
随神門から奥社までは同じ1㌔でありながら+10分余分に時間を費やします、参道は表情を変えて来ます。

f:id:owari-nagoya55:20210724201150j:plain飯綱社
奥社も近くなり、急な参道の途中左側の一段上がった所に鎮座する飯綱社。
飯綱大明神を祀り飯綱大権現ともいわれ、戸隠山の北東に並ぶ飯縄山神仏習合の神。
一説によれば九頭龍権現を主とする戸隠信仰より、飯綱(いずな)権現を主とする飯縄信仰の方が古い?とも云われるようです。古くから戸隠山の鎮守としてここに祀られてきたと云う。
実態は不思議な能力をもった天狗と言われ、崇める事でその能力を授かる事が出来るといいます。

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斜面の上方に見える建物は奥社社務所
奥社まで間もなくです。

尾上講社石塔
詳細は不明

f:id:owari-nagoya55:20210724201236j:plain雨脚も強くなり、雷が轟く天気となった頃、漸く奥社に辿り着く。
境内はフラットではなく4段の境内。
下の段に手水舎、一段上がった左が社務所、その上の段の左が九頭龍社、右の最上段が戸隠神社奥社の伽藍。

f:id:owari-nagoya55:20210724201258j:plain手水舎から九頭龍社の眺め
石段手前の狛犬、どちらも立派な角を持ち、苔むした姿はキャリアを感じさせる。

f:id:owari-nagoya55:20210724201323j:plain奥社
最上段に鎮座する。

f:id:owari-nagoya55:20210724201343j:plain戸隠神社奥社(御本社)
御祭神 天手力雄
御由緒並びに御神徳
創建は、前210年、第八代孝元天皇の 御代。
御祭神は神代の昔、天照大神が天岩戸にお隠れになった時にその神力をもって、岩戸を開いた神。
開運守護・五穀豊穣に御神徳があり、大相撲の土俵祭りの御祭神に御名を連ねるなど、武道・スポーツ必勝の神としても知られる。
嘉祥二(八四九)年、開山した学門行者が道場として築いた伽藍が起源とされ、山中の三十三窟の第一窟・本窟(宝窟)の在所です。
新年祭 五月15日
例祭 八月一五日
新嘗祭 十一月二十三日

f:id:owari-nagoya55:20210724201407j:plain社殿は後方の戸隠山の岩肌にできた本窟(宝窟)と一体化したような独特の姿をしている。
豪雪地帯にあってこの立地という事から、何度か雪崩の被害を受けているという。
現在の社殿は1979年(昭和50)に再建されたもの。趣はシェルターの様相です。
社殿奥にあるという本窟、そこは当然見る事は叶わない。

f:id:owari-nagoya55:20210724201425j:plain戸隠神社奥社
創建 / 前210年、第八代孝元天皇の御代
祭神 / 天手力雄

f:id:owari-nagoya55:20210724201444j:plain本殿域で唯一社殿が山に接していない「戸隠大神」
詳細は不明。

神社に来れば地元の酒の銘柄が良く分かるかもしれない、今夜の酒はどちらにしよう。

f:id:owari-nagoya55:20210724201506j:plain本殿域から一段下がって左側に鎮座する九頭龍社、五社巡り二社目。
御祭神 九頭龍大神
御由緒並びに御神徳
地主の神で御鎮座年代古く、天岩戸が化成したと云われる戸隠山の守護神にして神代の岩戸隠れの変に御功績を立てました本社の御祭神である天手力雄命を当山にお迎えした大神で水分神、水口神、五穀豊穣、魔除けの神、虫歯の神、縁結びの神として御霊験あらたかに国民の多幸弥栄の上に高大なる御神徳を恵み給う大神です。
祈年祭 五月一五日
例祭 八月一五日
新嘗祭 十一月二十三日

奥社同様拝殿の先は右後方の戸隠山に接している。

f:id:owari-nagoya55:20210724201527j:plain九頭龍社
天手力雄命が祀られる以前から地主神として古来より水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結びの神として崇敬されている。
創建 / 不明
祭神 / 九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)

奥社、九頭龍社共に背後の杜や御神体戸隠山の岩肌と一体となりそれぞれが趣のある佇まい。
ここまで来たら社殿を取り巻く周囲の光景に視線は向けたい。

さて社務所御朱印を頂き大鳥居に戻ります、傘もなく、下はぬかるんで滑りやすい、それでいて雷鳴がやたら近い。
早足になるところですが、雨は参道の杜が和らげてくれます、足元を見てゆっくり下るのが賢明。

f:id:owari-nagoya55:20210724201549j:plain手水舎から少し下った、参道脇の石仏。
行きに見かけていたが、雨もありスルーしてしまったけれど、濡れついでに帰りに寄ってみました。
参道から見ると木々が生い茂る山肌の岩。
岩の下は自然にえぐれたようになっていて、そこに苔に包まれた大小の石仏が安置されています。
由来は不明。

f:id:owari-nagoya55:20210724201609j:plain雷に怯えながら中間地点の髄神門まで戻ってきました。
裏側から見る屋根も苔むし、シダや若い木々が育っている。
漸く大鳥居が見えてきたころ雨もやんできた、参道は水たまりができている。

f:id:owari-nagoya55:20210724201629j:plain天気が思わしくない時に参拝する場合、しっかりした靴、雨具をお忘れなく。
ついでに、あればクマ除けの鈴をぶら下げると気持ちが落ち着きます。

f:id:owari-nagoya55:20210724201650j:plain駐車場に向かう途中で見かけたマンホール、戸隠の山と鳥がデザインされている。

雨と雷にくじけそうになったけれど、包み込むように迫る戸隠山とそこから育まれる自然の光景や恵み。
ドピーカンより早朝か曇天に訪れる方が神の山を身近に感じることができるかもしれない。
多少濡れたけれど気持ちのいい参道です。

戸隠神社 奥社 九頭龍社
所在地 / 長野県長野市戸隠3690
戸隠イースタンキャンプ場から車ルート /   ​奥社駐車場(有料)まで約5分