「桃ノ木神社」桃の園も今はなく

名古屋市瑞穂区桃園町 「桃ノ木神社」
町名といい社名といい、桃源郷をイメージさせるいいネーミングじゃないですか。

f:id:owari-nagoya55:20210818142951j:plainその昔この辺り一帯は桃ノ木が密生していた事から町名の由来となったという。
その町名を冠した桃ノ木神社が今回の目的地。
名鉄堀田駅から南に少し下り、正面の大きな集合住宅の南が桃源郷である。
残念ながら嘗て桃が密生した桃源郷も開発の波を受け面影は全くない。

f:id:owari-nagoya55:20210818143012j:plainでは少し前に戻ってみよう。
上の左の地図は1932年(昭和7)の頃で右がほぼ現在のこの地の比較です。
熱田神宮周辺は建物が密集していますが、桃ノ木神社周辺はそれほどではない。
ここに桃密生の痕跡は見られない、桃源郷はいつ頃の話なんだろう。
桃だけじゃなく、そもそも鳥居が見られない、ほぼ現在の地図にも鳥居はないので神社がいつ頃鎮座したものか推測も出来ない。

f:id:owari-nagoya55:20210818143034j:plain桃ノ木神社全景。
交差点の角に社地が与えられ東側に鳥居を構え、アルミ柵が社地を囲んでいます。

f:id:owari-nagoya55:20210818143056j:plain社頭から境内の眺め。
神明鳥居から先の境内は、木々が生い茂り本殿域の様子は見えない。
街中にあってこの濃密な緑は、周囲とかけ離れた空間である事を醸し出している。

f:id:owari-nagoya55:20210818143119j:plain鳥居から覗き込んでみて漸く灯篭や狛犬、奥は一段高くなり玉垣が見て取れる。
そういえば社号標も見ていない。

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ありました、〇ノ木神社
鳥居右側に、これは桜の葉だろうか。
社号標を隠すように桜の葉が覆い、存在に気付かなかった。
とはいえ、彫られている内容までは直視できない。
・・・・・剪定してやりたいところだ。

f:id:owari-nagoya55:20210818143252j:plain参道からの眺め。
境内は夏草が生い茂り本殿周辺の木々も自由に伸びている。
・・・・・下の枝は剪定してやりたいところだ。
周囲はとても明るいが境内はどちらかと云えば薄暗い、なので蚊が寄ってくる。

f:id:owari-nagoya55:20210818143313j:plain境内右手に手水鉢。

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本殿域も木々が生い茂り、ここまで来ても本殿の姿は見えない。
本殿域を守護する狛犬も妙に元気がないように感じるのは気のせいか。

f:id:owari-nagoya55:20210818143332j:plain吽形は木の葉が前を遮り横顔のみ。
陽あたりが違うせいだろう、阿形とはずいぶん色合いが変わっている。

f:id:owari-nagoya55:20210818143442j:plain本殿。
こちらも木々が生い茂り全体が眺められない。
取り敢えずこの場から参拝だけさせてもらい境内の外から本殿域を見る事にします。

f:id:owari-nagoya55:20210818143517j:plain社地北側から見る本殿域。
境内からは一社かと思っていたが、こうして見ると本殿右に小社が祀られている。

f:id:owari-nagoya55:20210818143547j:plain更に回り込んで後方からの眺め、左にも一社ある。
本殿は恐らく神明造で内削ぎの千木が施され、鰹木は二本を残し欠損し何本なのか良く分からない。
左右の社は恐らく板宮作りかと思います。
こんな事言っているくらいなので祭神等は不明。
神明鳥居に神明造の本殿という事からイメージは沸くけれど確証がない。
創建、祭神共に不明としておこう。
但し、灯篭の台座には昭和14(1939)年5月と刻まれていました。

推測になりますが、この街の開発に伴い守り神として鎮座されたものではないでしょうか。
町内会により維持管理されているようですが、創建時と今では世代が変わってきたのかもしれない。

何か、嘗て我が町にあった神社と似た境遇にあるように思える、家や人は増えていきながら、思いがあって祀られた神社がついには朽ち果て廃社の道を辿って行った。
無くなったのは神社だけに止まらず、神社がもたらしていた近隣の結び付きも薄れていった。

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神社後方から社地の眺め、こうして見ると後方は陽当たりもいいようだ。
桃ノ木神社、桃源郷とはかけ離れているけれど、いつまでも地元に鎮座していてほしいものです。
・・・・・バッサリ間引いて明るく風通しを良くしてやりたいところだ。
2021/08/07

桃ノ木神社
創建・祭神 / 不明

境内社 / 不明
所在地 / 名古屋市瑞穂区桃園町3-12
公共交通機関アクセス / 名鉄名古屋本線・​堀田駅から南に少し下り5分程