神武天皇上陸地に鎮座する「神前神社」

半田市亀崎2
浄顕寺から通りを東に向け4~5分程歩く。
やがて道は海岸線を走る国道247号線と交わります。
その少し手前に大きな参拝者無料駐車場を持つのが「神前神社

f:id:owari-nagoya55:20211117205715j:plain車で訪れてもこれだけ広いと心配はいらない。

社頭は海岸にある亀崎海浜緑地方向を向き、その先は海。
海岸線の小高い丘に鎮座し、丘全体が社地といって過言ではない。
丘の頂には公園があり、そこには亀崎城跡や伊勢神宮遥拝所、中腹に末社の多賀社などが鎮座する。
その丘の杜に包まれるように社殿が建てられています。
駐車場から緩やかな石段となり、神明鳥居の一ノ鳥居、ニノ鳥居、拝殿が一望できます。

f:id:owari-nagoya55:20211117205733j:plain一ノ鳥居。

f:id:owari-nagoya55:20211117205752j:plain鳥居左の手水舎。
重量感漂う瓦葺の屋根を四つ足の柱が支えている。
右に「重要無形民俗文化財 亀崎潮干祭」の石標と後方に小さな社があります。

f:id:owari-nagoya55:20211117205805j:plain駐車場脇の由緒書き。
「御祭神 神倭磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと)(神武天皇)
由緒 往昔神武天皇が大和御入国の途次、此地に上陸せられたるを以て天神洲と称し小祠をここに建て産土神として崇敬したるものなり。
後世、神の井の由緒ある現在地に遷座されました。
初め神前天神と称し、後に亀崎神社と改め、1871年(明治4)郷社に定められ、1885年(同18)神前神社と改称、県社に列せられる。
例祭 10月23日 棧掛祭、潮干祭 5月3日・4日 山車五台県 重要文化財
特殊神事 井戸のぞき神事、虫封祭 6月1日~7日
境内末社 神明宮、天満宮、多賀社」

棧掛祭の起こりは、伊勢から海を渡りこの地に立ち寄った神武天皇、里人が小船に桟橋を架け出迎えたことから、以来この地は「神嵜」と呼び、亀崎の地名の由来と云われるようです。
上陸地点を「天神洲」(現在の洲の崎)と称し、後に同地に社を建てお祀りしたのが神前神社の起源と云われ、こうした故事に因んで「棧掛祭」が執り行われています。

300年以上の歴史があると云われる潮干祭では、町内の山車が浜に曳き下ろされ、ユネスコ無形文化遺産(山・鉾・屋台行事)のひとつとして登録されていると云う。

f:id:owari-nagoya55:20211117205825j:plain鳥居右手に社務所、ここにも「神前神社」の社標とその奥に祓?戸大神が祀られている。

f:id:owari-nagoya55:20211117205849j:plain一ノ鳥居扁額。

f:id:owari-nagoya55:20211117205904j:plain鳥居前を守護する狛犬は子と毬を持つもの。

f:id:owari-nagoya55:20211117205921j:plain参道右に左に参道が伸び、鳥居の先の多賀社へ続く。

f:id:owari-nagoya55:20211117205938j:plainその狛犬と多賀社。
山の斜面に社地を造り神明造の社が祀られ、右には山肌が迫っている、創建時期などは不明。

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一ノ鳥居から境内全景。
右から神楽殿、神明宮の門、拝殿・本殿、境内社、神馬、天満宮の伽藍で、左から岡の頂にある伊勢神宮遥拝所に続く参道があります。
ここでかみさんと合流、既に札所も神前神社も参拝を終えたという、すまない。

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境内左。
左から天満宮、神馬、境内社6社が一つに纏められている。

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左から御首社、海亀大明神、御鍬社、恵毘須社、大国主社、山之神社。
随分新しく感じますが、比較的最近まではそれぞれが単独の社として祀られていたようです。

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境内右は入母屋瓦葺の神楽殿

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拝殿は5本の鰹木と外研ぎの千木が付く、シャープな外観の神明造。
大きな鏡が参拝者を映し出している。
左に撫で牛、右が神明宮の門。

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拝殿内と本殿方向。
参拝。しっかりと顔を見られている、この顔の願いを叶えたまえ。
拝殿の先は本殿域の鳥居と狛犬

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天満宮神門。

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神門の先の石段は神明宮に続く。
左手に鹿の像と注連縄で囲われた岩がある。

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写真左の注連縄が巻かれた石が「神の井」
井戸のぞき神事がここで執り行われる。
由緒によれば
神武天皇東征の際に立ち寄り、湧き水に写った姿を見て、その水の清らかさに心が和まされた
神事は子供の疳の虫が治まると言い伝えられている」
祭神は神倭磐余彦命。

この井戸の水に顔を映すと神武天皇にあやかれるとの信仰が拡がり、現在では子供の健やかな成長を祈る「井戸のぞき」として親しまれてるという。
ここから左に入り神前神社本殿へ。

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鬱蒼とした杜に包まれた石段を上り神前神社本殿方向へ。

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鳥居を守護する狛犬、寄進年度は不明ですがここまで見た中では一番キャリアは長そうな。

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幣殿の額。
今頃は右のもみじも色付いているか。
祭神は神倭磐余彦命(神武天皇)。
創建は定かではないようですが、1612年(慶長17)に波風の影響を受けにくい現在の地に遷宮されました。

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幣殿内から本殿域。
幣殿から右に進むと天満宮幣殿に。

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天満宮幣殿の味のある額、確か鳥居の入口には天満宮と神明宮の社標があった気がするが。
あれ?・・・・神明宮見逃したか、マいっか。
祭神は菅原道真でいいんだろうか。

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拝殿左の天満宮から丘の頂続く小道を進む事にする。
かみさんはこちらにはいっていないという事なので一緒に登り始める。
それ程きつくない坂を登っていく事2~3分、徐々に高度を上げ左に衣浦湾の眺望が広がる。
観月亭の解説板が見えれば頂です。

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観月亭展望台から亀崎町を見下ろす。
観月亭は大正天皇大嘗祭亀崎の月の屏風絵と和歌が寄進されたことを記念し、ここに観月亭を建てたそうです、しかし伊勢湾台風で倒壊、以後は展望台として保存されているようです。

観月亭の北側は広い公園として整備され、ここには伊勢神宮遥拝所と亀崎城跡の石標があります。

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観月亭の左に亀崎城跡の石標。
本来はこの公園の北側の高台にあったようです、それも衣浦開発により城址は削られ、碑のみがここに移されたようです。
城址として纏めるにしても遺構らしいものは見当たらない。

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亀崎城跡の碑の奥にも歌碑らしきものが
「萬代も変わらぬ影を亀崎の波に浮かべて月照りにけり 正二位 源 清綱」
大嘗祭に詠まれた和歌が碑に刻まれ、この碑も衣浦干拓工事に伴いここに移されたようです。


城跡の碑の後方をよく見れば古そうな手水鉢が置かれていた、年代は不明。

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公園西側の高台に「神宮遥拝所」
この先がお伊勢さんという事です。
高騰した燃料を使って伊勢に行かなくてもここでお伊勢さんにお参りが出来てしまう。

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観月亭の下から亀崎港方向の眺め。
「萬代も変わらぬ影を亀崎の波に浮かべて月照りにけり」
神武天皇が訪れたこの海、こうして見る景観も随分と変わったようだ。
古くは神前神社の沖を航行する舟は帆を半分をおろして神社に敬意を表して航行したと云う。
そんな光景を思い浮かべながら眺める。
2021/09/24

神前神社
創建 / 不明
祭神 / 神倭磐余彦命(カムヤマトイワレヒコノミミコト)初代神武天皇
境内社 / 神明宮(天照大神)、天満宮(菅原道真)、多賀社(伊邪那岐大神・伊邪那美大神)、御首社、海亀大明神、御鍬社、恵毘須社、大国主社、山之神社
祭典 / 潮干祭5月3日・4日、虫封祈願6月1日~8日まで、七五三詣 10月~11月
所在地 / ​半田市亀崎2-92
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