神話の里「白兎神社」

白兎神社は、鳥取県北部の日本海に面した白兎の身干山の麓に鎮座し、鳥取市内から車で30分程。
白兎神社の参拝者駐車場は国道9号線沿いの道の駅「神話の里白うさぎ」、今日はこちらの道の駅で車中泊させてもらいます。

f:id:owari-nagoya55:20211209080820j:plain白兎は神話「因幡の白兎」の舞台となった場所で、日本最古の恋物語の地として広く知られています。
それを裏付けるように神社周辺や白兎地区には神話の舞台が点在し、白兎神が流れ着いた淤岐之島、

気多之前と呼ばれ白兎神が鰐に皮を剥がれ上陸した岬や白兎神が傷口を洗った不増不減池などの「白兎の神跡」を見ることができます。
道の駅「神話の里白うさぎ」は正にその真っただ中に建っています。

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白兎神社の由緒となる「因幡の兎」は「古事記」にも記された神話。

因幡の國八上の郷に美しい姫(八上姫)がいると伝え聞いた八十神達は、八上姫を射止めようと貢物を用意しそれらの貢物すべてを弟の大穴牟遅神(大国主命)に持たせ、先に因幡の国の八上姫のもとに向かったという。
途中の海岸で皮を剥がれ傷ついた白ウサギが泣いていたが、八十神達はこれに誤った治し方を教え嘲笑っていった、そんな白ウサギに大国主命は訳を聞き、「水門へ行き水で傷口を洗い、ガマの花を下に敷き詰め、その上で養生すれば快復する」と導き、それに従った白ウサギは見事に完治したという。
白ウサギは助けてくれた大国主命に「八上姫は、きっと優しい大国主命の妻になりたいと言われる」と予言したいう。
八上姫は八十神達の申し出を悉く断ったが、大国主命の申し出は予言通り受け入れられたという。

参道にはそんな神話を想像させる美しい八上姫の砂像が作られていた、ここは縁結びの聖地なのだ。

f:id:owari-nagoya55:20211209080858j:plain道の駅左の駐車場に白兎神社の社頭がある。
左右に社標と右にピンクのポストがある。
右後方が白兎神社の樹叢、樹々は日本海から吹き付ける風で見慣れた杜の姿とは少し様相が違って見えます。
緩やかに続く参道は杜の中に続いて行きます。
日暮れ間近になると参拝者も少なく、参道途中で授与所の方とすれ違う、御朱印は諦めかな。

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一ノ鳥居額「白兎神社」

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鳥居右のピンクのポストと後方に「恋人の聖地で縁結び」の看板、いかにもの演出だ。

白兎神社と社叢の解説。
因幡の白兎」で有名な白兎神を祀り、社叢は季節風を黒松が遮り、日本海岸の原始林の姿を留める」

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解説板から身干山を眺める、手前の丘には国学者北里闌の歌碑が立っている。
「鰐の背に 似たる岩みゆ 蒲ならぬ 波の花散る 気田の岬に」

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丘の下に「北里翁歌碑」の石標。

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参道途中の覆屋に展示されている砂像。
八上姫に求婚する大国主命の姿と傍らで成り行きを見守るうさぎが描かれている。

そもそもこの白うさぎ、淤岐ノ島に流れ着き、島から気田岬に渡ろうと思うあまり、海の鰐を騙して、その背を踏んでに岬に降りたとうとした。
降りたとうとする直前、よせばいいものを騙したことを鰐に告げたもんだから、怒りの余り鰐は兎の毛を剥ぎ取ってしまった事に始まっている。ある意味自業自得。

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白兎神社の社叢は国の天然記念物に指定され、白兎海岸沿いの丘にあり海から吹き付ける風で幹や枝が風下側に傾いた特徴のある森と日本海海岸地方の植物分布を残し、特にハマナスが自生する南限としても知られているようです。

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石畳の敷き詰められた参道はニノ鳥居へと続きます。

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参道沿いはこうした常夜灯?が一定間隔で立てられ、それら一つ〃に表情や姿の違う兎の像が乗せられています。
そこには白い石にピンクの文字で縁と書かれた「結び石」が無数に乗せられています。

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「結び石」は社務所で頂けるようで、兎に乗せるだけで願いが叶う。
難易度は高ですが鳥居に向け「結び石」を投げて鳥居に乗れば願いが叶うとも云われるようで、そうした事もあり写真のニノ鳥居には多くの「結び石」が乗っかっている、乗らなかったことを考えると御利益が同じならぱ……。

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ニノ鳥居からは平坦な参道となり、左に手水舎が見えてくる、船を模った手水石に智慧袋から清水が注がれ、上には白兎が乗る。
静まり返った境内に水音だけが聞こえる。

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参道を隔てた向かいが御身洗池、不増不減の池と云われたりもする。
自然の偶然が生んだ不思議な場所。
鳥取砂丘の西端にあたり、池の底の岩盤と砂の微妙な境界により四季を通じて減りもせず、増えもしない事からこの名が付いたそうです。
白兎は導き通りこの水で体を洗い、周辺に自生する蒲の花を下に敷き詰め養生したという。
塩水よりは確実にいいだろうが……、過度な潔癖症のご時世にあってどうなんだろう。
下世話な話はともかく、ブラタモリで仕組みを教えてくれない時代にあって、ここは不思議な場所だった事だろう、それは今も水が蓄えられ変わる事はない。

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御身洗池からすぐ左に社殿が見えてきます。
切妻妻入りの拝殿に、同様の拝所が付きそこには大きな注連縄と額が掛けられています。
この右手に社務所があります。

f:id:owari-nagoya55:20211209081408j:plain拝殿前の狛犬は前屈みで、尾をピンと立てた姿はいつでも飛び掛かれる隙のないもの。
年代は見なかったけれど勇猛な姿と「凱旋記念」と刻まれた台座から想像はできそうです。
この後方にある常夜灯には寛政の文字が刻まれていた。

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境内右に白兎神社の由緒書き。
御祭神 白兎神を主神として保食神を合祀。
鎮座地 鳥取市白兎603番地
例祭 4月17日御輿途御行事あり
白兎神社は古事記日本書紀に記されている由緒明らかな所謂「因幡の白兎」で有名な神社。
……中略
日本医療の発祥の地であり、古来病気傷病に霊験あらたかな神様で、大国主命と八上姫の縁を取り持った結びの神様でもある。

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神門は亀甲に剣花角
大きな注連縄は、出雲神社の注連縄を納める「飯南町しめ縄クラブ」の方々により2014年に奉納されたものだという。
参拝を済ませ社殿をひと回り。

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社殿全景、本殿のある境内は一段高く盛られ、更に石垣を積み本殿域が作られています。

f:id:owari-nagoya55:20211209081534j:plain白兎神社本殿
創建は不明で現在の社殿は明治の頃に再建されたもの。
拝殿は幣殿と一体となり大社造りの本殿と繋がり、外削ぎの千木に2本の鰹木が付く。

主祭神は白兎神
皮膚病・傷病・病気平癒、医療、縁結びに御利益がある。

豊玉比売
縁結び、安産、育児、海上安全にご利益がある。
 もとは気多ノ前の神ヶ岩にある川下神社の豊玉比売が、大正元年に白兎神社へ合祀されたもの。
保食神
農業守護、漁業守護、開運招福、災難厄除け、航海安全、縁結び、子宝、安産、出世、家内安全など。

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特に人目を引く意匠が施されている社殿ではないけれど、本殿を支える菊座石は見ておきたい。

本殿を支える土台石に二十八弁の菊の紋章が施され、こうした菊座石は全国的に珍しいと云う。
「神社創建と皇室が何らかの関係があったものと云われる」と書かれている。

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本殿を支える土台石。
真横からでは分かり難いけれど少し見下ろすと確かに菊の紋章が見て取れる、これが皇室とどのようなかかわりがあるのかは定かではないようだ。

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身干山を前にして佇む白兎神社。

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社務所前から眺めた社殿。
おみくじの結び所もハート型、白兎神社の御神徳を表している。

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ニノ鳥居から一ノ鳥居、その先に白兎海岸が望める。
そこには先の写真のように大国主命が八上姫に求婚したとされる恋島がある。
2021/10/24

白兎神社
創建 / 不明
 秀吉の鳥取攻めで社殿を焼失、後の慶長年間に再興され、寛文、安永、明治と再建。
祭神 / 白兎神

合祀 / 豊玉比売、保食神

所在地 / ​鳥取県鳥取市白兎603
鳥取東照宮からのルート / ​国道9号線で25分程
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