三諸杉 濁酒 危険でおいしいどぶでした

2021/12/21
奈良県薬師寺唐招提寺へ訪れました。
いつもの様に地酒を求め徘徊した際、「本物のどぶろく入荷」の手書き看板を掲げた怪しい酒屋さんの前で足が止まる。
「本物のどぶろく」なんとも酒好きにはたまらないフレーズ、吸い込まれる様に店内へ。
本物の「どぶろくとはどれ?」とお姉さまに尋ねたところ勧められたのが下の「三諸杉 濁酒」
濁りじゃんと云うと、「いえいえ濁りとどぶの違いは・・・・」と巷に氾濫するどぶとの違いをしっかり説明してくれた。
それが出来るのであれば彼女の言葉に疑う余地はない。
よもや試飲などできないよねと聞くと「いえいえ・・・」
なんともありがたい、奈良の地酒を利き酒させてもらうことが出来、気に入った清酒一本とどぶを買い求め「取り扱い注意」で奈良を後にしました。

とにかくこのお酒、開栓時爆発注意、900ml瓶に750mlしか入れていないところなど見るからに恐ろしい。
爆発や吹き出しをさせる事無く無事に自宅の冷蔵庫に。
一晩冷やしていざ開栓、こうした脅し文句の類で文言に偽りなしの物にお目にかかったことがないだけに少し甘く見ていたかもしれない。
「取り扱い説明書」の作法通り開栓しシーソーの様にゆっくり傾ける・・・
甘く見ていた、あれほど余裕のあった瓶の空間は開栓した途端見る見る発泡し瓶口に向かう。
危険を感じ栓を締めると怒りは収まり元の位置へ、ならばと開けると再び怒り爆発。
これを数回繰り返し吹き出しが収まったのを見計らいシーソーの様に傾けてもろみとガスを混ぜ終わる。

どぶろくは濁りと似てはいるけれど酒税法上の表記が違います。
普段よく飲む濁りは「清酒」、どぶろくは「その他の醸造酒」、名ばかりのどぶは裏面の表記を見れば素性が分かる。「本物のどぶろく」の見分けはここ。

f:id:owari-nagoya55:20211223223535j:plain麹や蒸米を粗く濾したのが濁りで白濁しドロッとしています。
ろ過していないどぶはドロドロ、濾していないので当然酒粕も混ざっている、飲むと云うより食べる感覚かも知れない、多少酸味がある発泡性のドロドロの液体が旨い。
甘酒の感覚ですが酒粕を溶かした甘酒と違い、アルコール度数15度としっかり酔っぱらいます。
これを飲めばご飯はいらないかも。

f:id:owari-nagoya55:20211223223600j:plainボトルに添付されたラベル。
開栓時の液の動きは正に生きもの、あのヘッドスペースも伊達じゃない。
「本当に気を付けてください」に偽りはなかった。

f:id:owari-nagoya55:20211223223625j:plain上は酒処きとらから配布されている注意書き。
ここまで書く理由もよく分かった。
飲んだ印象は上に書いたように、飲むと云うより食べる感覚の多少酸味がある発泡性のドロドロの液体。そこに旨味が混ざり清酒にはない素朴な味わいがあります。
各地に残る「どぶろく祭り」ではこれが振舞われ、人生初のどぶろく白川郷でした。
以来無性に恋しくなりますが久し振りに元気のいいどぶと出逢いました。
西酒造 三諸杉濁酒 危険でおいしいどぶでした。

西の京地酒処きとら(BEERSきとら)
所在地 / 奈良県奈良市五条町3-30(唐招提寺から東へ徒歩5分程)
URL  /   https://www.kitora.com/

西酒造株式会社
所在地 / 奈良県桜井市三輪510番地

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