「岩滑 八幡社」半田市岩滑中町

半田市岩滑中町「岩滑 八幡社」
岩滑と書いて「やなべ」と読むそうで、岩滑八幡社はここ「やなべ」の氏神様。
前回記載した「新美南吉生家と秋葉社」から目と鼻の先に社頭がある。

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社頭から八幡社拝殿方向を眺める。
右に「村社 八幡社」の社号標、左に由緒書きがあり、石の神明鳥居から奥に参道が続きます。

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「八幡社」
祭神 應神天皇田心姫命湍津姫命市杵島姫命
祭典 祈年祭2月、例祭4月、神明社祭9月、新嘗祭11月下旬、月次祭毎月15日」

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参道を進むと石の神明鳥居のニノ鳥居、そこから先の境内は左右に広がり、鳥居正面の拝殿と右に小さな社殿があり、その右が社務所の伽藍、更に右に稲荷鳥居があります。

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ニノ鳥居左の「岩滑地区祭礼」解説

岩滑地区の春の八幡社祭礼に義烈組八幡車、西組御福車の二輛が曳きだされる。
祭り前日の朝、八幡神社前に曳きだされ、神楽を奉納してから秋葉社、山の神社、高山社へ奉納を終えると岩滑の町内に曳き回される。
宵宮では山車に提灯を灯し巫女の舞い「八幡車、御福車」が奉納された後、再び夜の町を曳き回す。
本祭りの当日も同様に巫女の舞が奉納され、他に祝い込みなどが行われる。

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天明(1781~1788)以前から山車の曳き回しが行われていたが、現在の山車は大正年間に造り変えられたもので出羽看龍・新美常次郎らの彫刻が施されている。
左が義烈組八幡車、建造は寛永五年(1852)、大正七年(1918)に改造。
右は西組御福車で建造は寛永二年(1849)、大正八年(1919)に改造。
何れも市の指定有形文化財(山車)に指定されるもので、岩滑の町が先人から綿々と受け継いできたもの。
広い境内の左に二輛を保管する背の高い保管庫が併設されています。

祭りの華ともいえる山車、半田の町に多く受け継がれてきた背景を知る由はないけれど、市内全域には今も30輌を越える山車が存在し、次の世代に受け継がれている。
見る者は「伝統」や「習わし」で形容しがちですが、そこには「重荷」や「煩わしさ」も存在する。
繋がる土地柄に改めて感心する。

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八幡社と新美南吉

戦国時代の岩滑の領主中山氏が應神天皇を祀り八幡社としたが元々は神明社だったという。
その名残が境内の神明鳥居と拝殿横の小さな社殿「神明社」として残る。

新美南吉は生家と離れを行き来するのに八幡社の境内を通るのが日課だったようです。
八幡社の四月の祭礼で山車が曳かれる情景は南吉の作品にも描かれているという。

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左の入母屋瓦葺の建物が八幡社拝殿、右の社務所との間に小さな神明社が鎮座します。
狛犬が横並びで建っているのもそのため。
八幡社の棟札で最古のものは1616年(元和2)まで遡るとされます。

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社務所右に豐川吒枳尼眞天。

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行儀よく横一列に並ぶ狛犬
その先に八幡車と御福車の収納庫がある。

f:id:owari-nagoya55:20220110173921j:plain神明社
1618年(元和4)の棟札が残るとされる。
狛犬がいなければ神明社の存在に気付かないかも知れない。

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社殿左からの眺め、八幡社本殿の姿は杜が囲い見届ける事は出来ません。

左に境内社が祀られています。

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境内社全景。
ここからだと八幡社本殿が僅かに見ることが出来る。

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左が知立神社、右は熱田神社
「岩滑地区祭礼」解説にあった秋葉社はともかく、他の山の神社、高山社の所在がよく分からなかった。
てっきりここかに祀られているものと思っていたが…本殿域だろうか。

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明治中頃の岩滑、集落は町になり水田も随分宅地化され光景は変わって来たけれど、新美南吉のふるさとの面影や古来から受け継がれて来た山車は今も残っている。
2021/9/24

岩滑 八幡社
創建 / 不明
祭神 / 應神天皇田心姫命湍津姫命市杵島姫命
境内社 / 神明社(天照皇大神)、知立神社、熱田神社、豐川吒枳尼眞天
祭典 祈年祭2月、例祭4月、神明社祭9月、新嘗祭11月下旬、月次祭毎月15日
所在地 / ​​半田市岩滑中町7-80
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