「大谷元観音」​栃木県宇都宮市

大谷元観音

先に掲載した「大山阿夫利神社」から姿川沿いに下る事数分。
 道すがら、左に知名度の高い「大谷観音」が見えている、残された時間に余裕もなく宇都宮に向かう「大谷観音前」バス停を目指す。

バス停手前の県道沿いで見かけた「大谷元観音」、古びた寄棟の小さな観音堂だ。
 ここもスルーか?
先にバス停に着いたかみさんから「バスがくるまであと5分」の連絡が入る。
 道路の見通しが良くバスが来れば走れば間に合う、少しだけ立ち寄ってみた。

観音堂向拝からの眺め。
 向拝柱の上の木鼻や梁には手の込んだ彫が施され、塗られた朱も色褪せ趣のある佇まい。
額には「元観世音」とあり「昭和14年11月27日」とある。
 再建されていない限り1939年頃に建てられたものだろうか?
ほぼ1世紀、大きな補修の手が入れなければ古色蒼然としたこの佇まいも理解できるが、無数に貼られた千社札は「いやいや、もっと古くから鎮座してます」と云っているようだ。
 残念ながら大谷元観音には概説もなく、後日地元の資料など見たがこの疑問を解決するものは見つからなかった。

参拝を終え堂内を窺ってみた。
 正面に黄金色に輝く観音像と右に黒塗りの厨子が安置されていた。
左側に「・銭・福」と書かれた額がある、ここから疑問の解決につながるかも知れない。

堂右奥の光景。
 右手の大谷石の岩壁に寄り添うよう一枚の石標があり、「銭洗観音」と刻まれ、左に観音像と蛙の像が置かれていた。
しかし肝心の銭を洗う場所は見当たらなかった。
 堂の裏は大谷石の岩壁、そこに開いた穴の中に祠らしき姿と窪みに複数の観音像が安置されていた。
写真右の大きな石碑は県道開通記念碑。

大谷元観音の鎮座地を1909年と現在で比較してみました。
 現在の地図上に大谷元観音は記されていないので、遡っても同じだろうが、大谷資料館と大山阿夫利神社、大谷元観音を落として見ました。
大谷資料館から徒歩でも10分少々、周辺には大谷寺や平和観音等のメジャーな見所もあり時間をかけて巡って見る価値がありそうだ。
 
大谷元観音
開基 / 不明
本尊 / 聖観世音菩薩
所在地 / ​栃木県宇都宮市大谷町
参拝日 / 2022/05/12
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 下は県道沿いからちらっと姿を見せた「平和観音」
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県道からも石段が続き拝めそうです。
 平和観音大谷寺にあり、高さ約27㍍の大谷石の石造観音菩薩立像です。
先の大戦による戦没者を弔い、世界平和を祈念するとともに、大谷観音のお前立として昭和23年から6年をかけて彫られた観音像。

残念ながら県道の先からバスがやって来た。
 もう一時間なんとかしたかった、最終日ここまでそれほど時間のロスはなかったはずだが、最終目的地もある、ここまでです。