長野県松本市「泡の湯と松本市徘徊」

9月13日・14日、長野県の白骨温泉泡の湯と松本周辺を徘徊。

GO TOも煮え切らず、徴収されるばかりの税金、少しは還元してもらわねば、という事で都道府県宿泊割引を利用。
 独身時代、国道19号線薮原から林道安曇奈川線を走り乗鞍や上高地に良く走ったもので、当時まだ未舗装だったくねくね道の過酷な林道を走っていると硫黄の匂いとと共に突然現れる宿にホッとした思いがある。
当時は宿の前に「秘湯を守る会」の提灯が下げられていたものだ。
 今回は木曽谷方向まで走り抜けていないが、朝焼けの北アルプスや遠く富士まで望めた過酷な道。
ずっと以前から走りたくて、再び泊まりたいと思いながらも縁がなかった。
運転に不慣れな人は行けない秘湯だったが、今は高速も整備され、松本からだとあっという間に辿り着ける。
 秘湯の趣は薄れ、提灯がなくなっても当然かもしれないし、やっとの思いで訪れる「秘湯」は死語になりつつある。

駒ヶ岳SA。
名古屋から軽に鞭うって高速をひとっ走り。
工事規制の影響もなく順調に辿り着く、ここで朝食を買い求め小休止。
…生憎雲の多い天気、宝剣も姿を隠していた、かみさん曰く運転中だから言わなかったが走行中は綺麗に見えていたという。
なんとか二日間雨だけは避けたい。
伊北ICで高速を下り、国道153号線を北上し道中の安全を祈願するため信濃國二之宮に参拝。

鎮座地の小野は塩尻市辰野町が隣り合い、社叢を共有する二つの二之宮が鎮座する。
 古くは1つの神社だったとされ、小野盆地において飯田城主の毛利秀頼と松本城石川数正の領地争いがあり、1591年(天正19)秀吉の裁定により、盆地を流れる唐沢川を境に北小野村、南小野村に分けられたことに始まる。
社地は北小野(塩尻)の地籍であったが、裁定により境内は二分され、社叢南半分の矢彦神社は南小野(辰野)の氏神で社地は辰野の飛地という扱いになり現在に至っている。

写真は国道153号線沿いの両社の社頭、国道沿いに社地を囲う玉垣が延びる。
社地中央に小さな水路があり、それを境にして両社が隔てられ、境界を示す石標が立てられている。
両社を隔てるものはその水路だけで、水路の意味を知らなければ「大きな神社だこと」で終わるかもしれない。
国道を挟んだ門前町は初期中山道、伊那街道の宿場町小野宿でその面影を感じさせる光景が残る。
小野神社境内には立派な土俵があり、北小野村、南小野村合同で相撲が奉納される。
両社には御柱が奉納されているが、地元の方の話によれば「来年がその年に当たるが、コロナ禍や担い手不足でどうなるかねぇ」との話だった。

小野神社(信濃國二之宮)
創建 / 不明、(寛文12(1672年)焼失、同年再建)
祭神 / 建御名方命 
境内社 / 八幡宮、稲荷社、子安社、宗像社、天神社

長野県塩尻市北小野175−1
矢彦神社(信濃國二之宮)
創建 / 欽明天皇年間(539~571)
祭神 / 正殿 大己貴命事代主命
副殿 建御名方命、八坂刀売命、
南殿 天香語山命、熟穂屋姫命、
北殿 神倭磐余彦天皇、誉田別天皇
明治宮 明治天皇
所在地 / 長野県上伊那郡辰野町小野3267

山賊
塩尻市大門にあるご当地グルメ山賊焼きの元祖、鶏の骨付きのむね肉やモモ肉をニンニク醤油ダレに付け込んで揚げたもの。
写真はCランチ、小鉢が付いて1320円。
A~Cがあり山賊焼きのサイズにより呼称が決まる。(Aが特大、Bは大、Cは中)。
ライス最初の一杯が無料、Cですら手ごわい大きさで当分鳥唐いらない。
若い衆にはお得な店かも知れない。
カラッと揚げられた山賊焼きは美味しかった、5段階評価で☆三つ。

夜は居酒屋で昼は曜日限定でランチ営業。
所在地 / 長野県塩尻市大門7-10-1

そろそろ泡の湯のチェックインは15:00、そろそろ国道158線(野麦街道)を山に向け走り出す。

波多神社と旧西光寺山門。
 道路は至って順調、ナビ到着時間を考え時間調整で国道から細い道を左に分け入り参拝して来た。
右の社叢が波多神社、左の赤い山門が西光寺山門。

現在の山門は左右に仁王を安置する仁王門で左右の壁には写真の大きな草鞋が掛けられている。
山門の正面には上波田阿弥陀堂
阿弥陀堂左に「若返り地蔵尊」が安置されている。
右手に重要文化財「田村堂」がある、内部には杮葺きで妻入りの社が祀られ、輪違紋や花狭間など手の込んだ装飾が施されている。

波多神社と旧西光寺山門
所在地 / 長野県松本市波田波田4575-2

時間調整で寄ってみたが田村堂の手の込んだ社は立ち寄って正解だった。
 そろそろ梓川沿いを上って行こう、この先軽にはつらい上り坂しかない。

龍神の瀧
奈川渡ダムを越え、国道158号線から県道300号線に乗り換える、泡の湯はここから10分程。
 ここから先の上り坂は一段ときつくなり、つづら折りの舗装された細い道が上に続く。
軽にとっては遅い車に追いつきたくない、一旦追いつけば車速を戻すのに厄介な道。

 後続車もなく上り始める、やがて前方を走る車が視界に入り、厄介な状態になる。
途中何度か時間差を取る為待避所で待機する「なんで止めるの?」と云われても運転しないとこの気持ちは分かるまい。それでもペースは合わない。
 細い道ながら路線バスも運行され、対向車もある、幅寄せや待避所に近い者が譲るのは当たり前の路。
普通車ならすれ違えるのだが…どちらも睨みあい、付いていけない。
 宿の少し手前にある龍神の瀧を見物する事にした。

山肌の途中の石灰質の岩盤から滾々と湧き出る伏流水は、苔むした山肌を白い流れとなって流れ下る。
 その様が龍のようでもあり、岩盤の穴の奥には龍が潜んでいるのです。
伏流水の湧き出る斜面一帯は少しばかり気温も低く感じる。
 瀧は道路際なので車の往来に注意しないと危ない場所、車は少し上に待避所があるのでそこから歩きましょう。 

ここで涼んで再び走りだす、もうこの辺りでも風向きによっては硫黄臭が漂ってきます、泡の湯は近い。

チェックイン開始15分前に泡の湯到着。
 県道は時折バスが通りますが、車窓から露天風呂は良く見える、その昔は湯舟から立ち上がり両手を振って挨拶したものだ、かみさん・・・・「それ挨拶とは言わない、今やると捕まるよ!」
 
湯は今も白さを保っているようだ、源泉は37℃程とかなりぬるめ。
 湯船に流れ落ちる三本の源泉は硫黄泉で無色透明、それが流れ落ち空気が混ざる事で白く白濁します。
宿周辺の樹々は色づき始め秋の装いを纏い始めていた、風情のある露天風呂です。
 この景色を眺めながら温い湯に浸かっていると一日中でも入っていられる。
硫黄臭があり、最初は肌にヌルッとするが、すぐに慣れてくる。
 効能は筋肉や関節の慢性的な痛み(おやじに最適)やこわばり、五十肩(かみさんに最適)、神経痛、冷え性・胃腸機能低下の改善等など幅広く、源泉は飲用可。
成分は硫黄、カルシウム、マグネシウム、炭酸を含む硫黄泉、源泉は硫黄と硫化水素臭が口の中に広がる。
 今のご時世しっかりとガードしてくれる湯あみもあり、女性も抵抗なく混浴が出来る。
二人で白濁した湯舟に浸かりながらのんびり浸かれる、温泉らしい温泉だ。

 朝御飯はこの源泉を使って作られた御粥がいい。
美味しいものではないが、普段怪しい物を摂取している体を整えるのには良いかもしれない。


当時なかった部屋毎のトイレと洗面が付いた新館もあり、宿も様変わりした。
 宿泊した本館は昔の名残を感じさせる懐かしいものだった、勿論エアコンは不要。
昔も今もいい湯である事に変わりがない。

泡の湯
所在地 / 長野県松本市安曇4181

美味しい料理といい湯に浸かり、翌日もチェックアウト寸前まで湯を味わう。
 二日目は松本方向に戻り、かみさんのリクエストした場所を巡る。

大信州酒造
昨晩飲んだこの銘柄が気に入って酒蔵までやって来た、この小奇麗な販売所で家の土産を買い求める。
所在地 / 長野県松本市島立

さて次は美術館。

松本市美術館
 草間彌生版画の世界(7/23~9/25)を鑑賞する。
作品は美術館外壁や庭園まで展示され、上は入館料もなく見ることが出来る。
 凡人にはさっぱり理解できないが、根源に細胞や宇宙の始まりをイメージさせるものがある。

所在地 / 長野県松本市中央4-2-22

四柱神社
ここは蕎麦とパンを買い求める為に駐車場(有料)を利用させてもらった。

祭神は天之御中主神高皇産霊神神皇産霊神天照大神の四柱。
そこから社名が来ています。
由緒は1872年(明治5)、筑摩県(長野県)松本に設置された神道中教院が起源で、1874年(明治7)に四柱の神を祀ったことから始まる。
1879年(明治12)、この地に社殿を造営し、村社の四柱神社として遷座した。
1888年(明治21)、松本大火で社殿を焼失。
1924年(大正13)、社殿が再建された。
1959年(昭和34)、別表神社となる。

所在地 / 長野県松本市大手3-3-20

こばやし 本店
四柱神社社務所の左にある蕎麦屋
 参拝の帰りに手軽に美味しい蕎麦が食べられる、お昼はこちらで頂くことに。
腰があって歯ごたえも良く、薬味の山葵、ネギ、おろしと付く、個人的にはおろしが一番合っていた。
 写真のざる2枚重、ペロッと二枚たいらげられる。
かみさんは「つめたいおそば きのこ」
 茸の名称は不明だが、これ乗鞍のキャンプ場でキノコ狩りした時のあれ?(名前が出てこない)
冷たくて腰のある蕎麦と滑りのある茸の愛称は絶品。

こばやし 本店
所在地 / 長野県松本市大手3-3-20

さてお腹は満たされ、次はかみさんお目当ての牛乳パンを買い求めに行くのだが。
 おやじは神社に居残って写真を撮り、かみさんは徒歩でパン屋へ向かう。

小松パン店
四柱神社から直ぐ近くにある小さなパン屋。
写真の牛乳パンは事前予約販売しかしないという。
この日に合わせ予約をしていたらしい、受け取った時はフワフワで衝撃を与えるとすぐに変形していく。
昔懐かしいショートニングのバタークリームパン。
柔らかなパンに昔懐かしい個性的なクリーム、子供の頃を思い出す懐かしいおいしさ。
生クリームで育った人にはくどくて食べられないものかもしれない。

近年昔を思い出そうとあのくどいバタークリームのXマスケーキを食べたことがある、時代は変りあの強烈な個性のあるくどいバタークリームは随分まろやかになった。
このクリームは子供の頃のクリームに近いかもしれない、指についたクリームは油ギッシュなものがある。
予約してまで食べるものかは疑問が残る。

所在地 / 長野県松本市大手4-9-13

今回の走行ルート / ​走行距離 525㌔​、軽自動車の燃料タンク満タン10目盛りで二目盛り残して帰り着くことが出来た。 自分の車ならガス欠か? 標高が高くなるとやはり軽には負担がかかる道のりかも知れない。
それでも二人で訪れた久し振りの泡の湯は十分満喫する事ができた。
唯一、気の早い彼岸花を期待したが道中では見かけなかったのが少し残念。