十番札所観音寺から次の11番札所安徳寺までは南へ約1.5km、30分ほどの道のりになります。

写真は十番札所観音寺から南へ徒歩1~2分、100㍍ほど先で見かけた14丁石。
街道のような趣きの道筋の左に立てられており、この先で左に曲がれば伊久智神社を経由して師崎街道に続きます。
今回はその伊久智神社を掲載します。
尚、この丁石の所在地はこちらになります。

丁石の先で左に進むと写真の伊久智神社の社地が見えてきます。
長い石垣の途中に伊久智神社社標が立っていますが、この先に脇参道があり、この道の先で左に曲がると鳥居を構える正参道に至ります。
事情は分からないが不思議な所に社標が立てられたものです。

伊久智神社社頭。
神明鳥居の先は長い参道が社殿に続き、鳥居の右に伊久智神社社標が立っています。
この鳥居、実は二ノ鳥居で、社頭の前の通りを下っていくと大鳥居があります。

「昔は八剣大明神と呼ばれた。
創建の年代は不明。
亨德三年(1454)長坂近江守等が社殿を修造した記録がある。
祭神は塩土老翁と木花開耶姫命と伝えられる。
塩土老翁が海水から塩を作る事を教えた海岸を神塩浜と称し、これが延喜式にある尾張国の名産「生道塩」の起こりであると伝えられる。
社叢の「大楠の森」は町指定天然記念物であり、この神社の氏子が奏する神楽も町指定無形民俗文化財となっている。
昭和59年9月」

参道左の手水舎から社頭の眺め。

境内左の神宮遥拝所、参道側の面には宮城遥拝所と彫られている。
左の建物は神楽殿です。

神楽殿全景。

三ノ鳥居から一対の狛犬が守護する拝殿方向の眺め。
社殿左側には境内社が祀られています。

社殿と境内社方向の眺め。

寄進年は未確認ですが、大量生産の物にはない整った姿の狛犬。

「日本唯一 潮霊を祀る伊久智神社の由緒
◇主祭神 塩椎神(塩士翁神) 木花之開耶姫命
◇相殿神 道祖神、天照大神、大山祇神、応神天皇、建速須佐之男命、菅原道真
以上八神生道大神と申す。
伊久智神社の創祀は古事記・日本書紀の海幸山幸に登場する塩椎神(塩土翁神)「潮霊」の御鎮座に始まります。
境内全体が古代祭祀の場であります。
古くは「生きる道の神」・「生命の満ち引きの神」生道八剣大明神・本鹽竜さんと称され、熱田神宮の神領で古来より人々に篤く崇敬されてきました。
「潮霊」とは、潮流を司る霊「潮つ霊」「潮つ路」「潮盈瓊」「潮涸瓊」であり、御祭神の塩椎神(塩土翁神)がこの地に製塩法を教えて下さり、素晴らしい「生道塩」が出来たので都(京都)に税ではなく、東寺(京都)に御供物として奉納していたことが平安時代の「延喜式」卷二十四・巻三十三に記載されています。
又「延喜式」 巻九・十の両巻の「神名帳」に記載された知多半島の式内社は三社で羽豆神社(師崎)、阿久比神社(阿久比)、人見神社(内海) 伊久智神社は式外社で町内では唯一の神社です。
例祭の日にちは今では九月の第三日曜日となっております。
明治以前は八月十七日(旧暦)以後は九月十七日です
この日は伊勢神宮の神嘗祭の日(旧暦)でもあります。
古来より神嘗祭は夜のお祭りで、満月の光の中で斎行されています。
このことから考えますと伊久智神社の御祭神が潮の満ち引きにつながる神様と解ります。
祭礼当日に於いても、以前は祭りの終盤で境内にて両組別れの前に、若衆が沢山の塩を撒きながら太鼓の打ち合いをしておりました。
その塩を浴びると無病息災につながると多くの人が塩をかけてもらいに集まりました。
人の生死は潮の満ち引きに深い関係があるとされ、「この世に生を受けてから亡くなるまでを護って頂ける神様」として古くより信仰があります。
生命みちひきの神・安産の守護・延命長寿・厄祓いの神・産業開発・交通安全の神様として信仰されています。
神社も以前は「生道神社」、生路地区の「生路」は御祭神から発生・誕生した地名です。
また三白発祥の地、塩・白砂糖・木綿ともいわれております。
明治四年に明治政府により「伊久智神社」と改称する。
明治四十二年「合祀令」により秋葉社・金毘羅社に八柱を合祀。
○本殿の右末社に天照大神・本殿の左末社に道祖神、建速須佐之男命、大山祇神、 応神天皇・菅原道真・事代主神、大国主命他をお祀りしております。
○伊久智神社の社義が大楠の森(東浦町天然記念物指定)。
○伊久智神社神楽(東浦町指定民俗芸能)。
○境内末社・摂社 神武天皇遥拝所、熱田社、楠之御前社、素婆俱羅社」

この世に生を受け・亡くなるまでを守って頂ける「満ち引きの神」の神として古来より安産の守護・延命長寿・厄祓いの神・産業開発・交通安全の神様として崇敬されています。
月の満ち引きと出産・臨終の関係は科学的根拠はないと言われますが、自分の経験から息子達は月の影響を受け生まれています、人の臨終も無関係と言いきれないのが私の経験則で、特に女性の体や感情は満ち引きと関係ありそうで、長い結婚生活の学びの中でそうした時にはなるべく関わらない。

拝殿左の境内社。
正面は合祀殿で、左に神武天皇遥拝所があります。
伊久智神社の本殿や本殿域の様子をうかがう場所が見つけられません。

合祀殿正面全景。
本殿域は中門と玉垣で囲われています。

合祀殿。
明治42年(1909)明治政府の合祀令により、秋葉社、金毘羅社へ近隣に鎮座していた天神社・大山祇社・冨士社・大山祇社・大山祇社・稲荷社・洲原社・恵比寿社の八柱を、その後の令和4年に多賀社を合祀した九柱が祀られています。

神武天皇遥拝所と一間社流造の合祀殿、右手が伊久智神社本殿で、内削ぎの千木と6本の鰹木が載る神明造の様です。
社地西側に町指定天然記念物の大楠が聳えています。
満ち引きの神を祀る伊久智神社の参拝を終え、11番札所安徳寺に向かいます。

写真はニノ鳥居を出て左に進み、坂を下った所に伊久智神社の一ノ鳥居がありました。
所在地 / 愛知県知多郡東浦町生路森腰79
観音寺から伊久智神社 / 観音寺から伊久智神社社頭、南へ400m・徒歩5分ほど
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