吉五郎稲荷。
小牧山には山中を周遊する散策コースが幾つかあり、今回掲載する吉五郎稲荷は、大手道から左に伸びる自然満喫コースの途中に鳥居を構えています。

地図上では少し離れた印象ですが、小牧山稲荷神社の社頭右に鳥居が見える距離にあります。

社頭全景。
朱の鳥居と右に「吉五郎稲荷保安林」の石標が立てられています。

鳥居をくぐり、陽光が降り注ぐ明るい森の中に伸びる参道を少し上れば、左の斜面に赤い社殿が見えてきます。
この森は杉が多く植えられているようで、花粉症の方は時期によっては迂闊に近づかない方がいい。

ここが市内中心部とは思えない緑豊かな光景が広がっています。
どことなく猿投神社の境外摂社広沢神社を訪れた時の静寂に包まれた雰囲気に通じるものがあります。

小牧山南斜面に建てられた小さな社殿。

社殿はこの拝殿とその先の本殿を収める覆屋のこぢんまりとしたもの。
ここに祀られているのが尾北一圓に住む狐の総大将で小牧山の主の吉五郎狐。
小牧山稲荷神社でも触れましたが、吉五郎狐は美しい娘に化けるのが得意だったようです。
小牧市の昔話の中に吉五郎狐に纏わる話がありますが、総大将らしい傲慢な内容の話も見られます。

樹々に包まれた吉五郎稲荷の朱塗られた本殿、吉五郎稲荷は小牧山稲荷神社の奥の院的存在なのかもしれない。
いかにも狐の巣穴がありそうな雰囲気が漂っています。
小牧山には、現在も吉五郎狐や物語に登場する狐の子孫達が生息しているようです。
街の中心にポツンと残された緑溢れる小牧山、細々と世代を繋ぐ生きものを育んでいます。
私の住む名古屋市内では、アライグマや韓国イタチ、狸は見たことがありますが、狐は見たことがない。
身近な森も、昨今は樹々の伐採が進むにつれ緑が失せ、巣作りができなくなったカラスは大騒ぎし、森に住むムカデまでも避難をはじめる。
森が消えた跡にはグレー一色の集合住宅に置き換わり、そうした光景も見られなくなってきました。
そのうち夢枕に立つかもしれない。
吉五郎稲荷
創建 / 不明
祭神 / 吉五郎狐
祭礼 / 不明
所在地 / 小牧市堀の内
小牧山稲荷神社から吉五郎稲荷 / 小牧山稲荷神社右、徒歩1~2分程