房総半島の一之宮巡りの際、車中泊をさせてもらった「道の駅むつざわ つどいの郷」から車で5分程の睦沢町佐貫に鎮座する八幡神社に参拝しました。
九十九里浜の西側の山間にあたるこの辺りは、住宅もまばらで、長楽寺川の両側に一面水田が広がり、家々の趣こそ違うものの、昔ながらの日本の原風景を感じさせる場所です。

訪れた時は田植えも終わり、水を湛えた、青々とした水田が広がる時期でした。
川も流れていることから、今の時期にはホタルの飛び交う姿が見られる予感がします。

見上げるほどの杉が生い茂る杜の入口に、石の明神鳥居を構え、参道は山の高みの社殿に続いています。
里に祀られた趣のある神社の姿です。

神社社頭の眺め。
古びた石段を上った先の燈籠や石の明神鳥居など、時代を感じさせます。
地史を調べればすぐに分かると甘くみていましたが大間違いでした。
現地で何一つ寄進年を見ておらず、今は少し後悔している。

静まり返った境内は、緑鮮やかでいい雰囲気を持っています。

社殿に続く石段。
境内の樹々はほどよく伐採、下草も刈り取られ、手入れが行届いていました。
ともすれば、樹々や下草が生い茂り、淀んだ空気の漂う神社とは違います。

【長生郡郷土誌(1987)】がweb公開されていたので土睦村の項に目を通す。
小滝・川島に八幡神社の記述がみられたが、佐貫八幡神社の記述はみられず、創建時期は詳らかにならなかった。
【睦沢村史(1977)】では社殿の写真は掲載されていましたが、創建時まで言及されていなかった。
今昔マップon the webで明治36年(1903)の地図を遡ると、当時既に鳥居の印が見られました。
いつ頃創建されたものだろう。
睦沢村史の検地の項に、延宝8年(1680)に佐貫村の検地が行われた記録があり、その中に「八幡免」の記述がみられ、当時既に佐貫 八幡神社が鎮座していたことを示しています。
なので創建はさらに遡っていく事になります。
八幡神社は五穀豊穣や漁業の繁栄を祈願する神として、各地の村々に建立されます。
一方で勝利の神として武将からも崇敬されたので、近くに城があり、里に神社を創建した、そんな気もしてきます。
また、細い流れの長楽寺川が鎮座地周辺で、不自然に川幅が広がっています。
灌漑を目的として人の手で改修されたようにも見え、農民以外にそれなりの支援があった可能性もありますが付近に城址はないようです。

拝殿全景。
鋼板屋根の入母屋平入で一間向拝が付けられています。

石段右手の手水舎と常夜灯。

境内右から社殿の眺め。
社殿は拝殿と鞘殿のシンプルなものです、祭神は譽田別命。
この高台から、氏子の住む集落と田畑をいまも見守り続けている。

石段降り口から社頭を見下ろす。

格式があり、みるからに威厳のある神社より、こうした雰囲気の漂う姿が個人的に好きな神社です。
水田を吹き抜ける早朝の風は、コンクリートとアスファルトに包まれた街の風にはない心地よさがある。

神社脇の森之谷集会所付近から佐貫 八幡神社の眺め。
八幡神社
創建 / 不明
祭神 / 譽田別命
所在地 / 千葉県長生郡睦沢町佐貫2332
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