奈良県 『大野寺』 新緑で彩られる磨崖仏

県道28号線の室生口交差点を室生寺方向へ、すぐに左折して宇田川沿いを下流へ走る
 やがて左側に瓦の葺かれた白い塀が見えて来ます、そこが大野寺です
イメージ 1
宇陀川の前にひっそりと佇むように建つ小さなお寺です
イメージ 2
お寺の先の右側に無料駐車場があります、そちらに車を停め宇陀川の上流に向け散策すると
 左側に史跡案内板が建っています、そこから50mほど上流の対岸に目を向けてください
イメージ 3
宇陀川対岸の木々で覆われた断崖、一画だけが岩肌が露になっている場所が見えます
 そこが国指定史跡の「弥勒磨崖仏」です
「ただの岩じゃん」なんて言わずによ~く見てください
イメージ 4
右手の光背形に削られた一枚岩に線を刻み、更に内面に水磨きを施し弥勒仏の立像が岩壁全体に描かれています
 遠目には識別しにくいですが、よく見ていくと線が浮かび上がり仏の姿が見えて来ます
陰影が強調される朝・夕時にはクッキリと浮かび上がって見えます
 磨崖仏は1207年(承元1)、興福寺の雅縁大僧正の発願により作られたと云われます
全高は11.5mの壮大な磨崖仏です
 近年岩壁の崩落防止とその要因となる地下水の流れを変える修復作業が行われたそうです
イメージ 5
この時期は人目を引き付ける派手な自然の演出がないので素通りされる事も
イメージ 12
 拝観料は山門左の無人の賽銭箱に収めます
昔から全く変わっていません
イメージ 6
由緒:681年(白鳳9)、役小角(役行者飛鳥時代修験道の開祖とされる)が開く
 824年(天長元)に弘法大師が室生山開創の時に、西の大門と定めここに一堂を建て、慈尊院弥勒寺と称し、後に地名を名付けて大野寺に改称
1900年(明治33)火災で全焼するも本尊、仏像などは難を逃れる、現存の寺建築物は火災以後のものです
イメージ 7
山門右の鐘楼
普段は訪れる人の少ない小さな寺ですが、桜の咲く時期には一変します
 この時ばかりは道路は駐車待ちの車の列、車道は人の列ができるほど変貌します
境内には樹齢300年を超える枝垂れ桜の古木2本と寺周辺の10本近い枝垂れ桜が咲き誇り
 大野寺が一年で一番華やかで美しい時期と言って過言ではないと思います
訪れた当日は既に桜も終わり、元の静けさを取り戻しています
イメージ 8
静かに佇む本堂、右脇にある枝垂れ桜の咲く頃は多くのカメラマンが構える場所でもあります
イメージ 9
本堂左の観音堂
 桜が注目される大野寺ですが、宇陀川の川面の色、周囲の花や木々の移り変わり
四季折々の美しさを持っています
 今の時期は周囲のもみじの新緑が鮮やかな時期を迎えています
イメージ 10
観音堂の向かいの遥拝所
 こちらから拝むと恰も堂内に祀られているかの如く磨崖仏を見る事が出来ます
境内には他に不動明王磨崖仏など鎌倉時代の寺宝も多数ありますが残念ながら公開されていません
イメージ 11
大野寺パンフレット(当時と変わっていません)

久し振りに訪れましたが、当時と変わっていない風景
 懐かしさと共に再び巡って見たい気持ちにさせてくれます
かみさんに無理を言い立ち寄らせてもらいましたが、彼女も何時しか写真に収めています

大野寺
宗派 / 真言宗室生寺派創建 / 681年(白鳳9)
本尊 / 弥勒菩薩立像
文化財 / 国指定重要文化財「木造地蔵菩薩立像」
国指定史跡 / 弥勒磨崖仏
その他 / 不動明王磨崖仏、大般若経360巻、十一面観音立像、地蔵菩薩など
住所 / ​奈良県宇陀市室生大野1680​
アクセス / 東名阪自動車道名阪国道小倉出口 約2時間
       室生寺はここから20分程、長谷寺へは30分程