名古屋市緑区大高町 『海岸寺』

名古屋市緑区大高町田中

大高城址から東を眺めると直下に「海岸寺」という寺号の寺があります
寺号から受ける印象は「なんと場違いな」と感じる事でしょう
現在の周囲の状況から見ても、初めてこの地を訪れる方の正直な印象だと思います
以前はこの先に海が入り込んでいた時代もあり、知多半島の北端でした
海岸は強ち不自然でもない場所です
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ここ大高城址の東端から海岸寺を一望できます
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海岸寺の境内も城壁の様に石垣が高く積まれ、その上に伽藍が広がります
後方は先程の大高城址の森です
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大高城跡史跡指定地内に鎮座する天台宗海岸寺」の伽藍全景

白祐山海岸寺の山門、山門右に地蔵堂
山門をくぐり石段を登った先が境内、左に海岸寺本堂、善光寺、客殿、寺務所、庫裏の伽藍
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山門右の片隅に地蔵堂が祀られ、馬頭観音不動明王に出逢う事ができます
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山門正面全景
両脇には鮮やかな色彩の仁王像が守護しています
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那羅延金剛力士
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密迹金剛力士
どちらも鮮やかな色彩が施されています、作者は不明
仁王門は1943年(昭和18)に本堂と共に新築されているようなので近代の作品
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山門扉の転法輪、心が清浄になるように唱えて右に3回回す事で願いが叶う様です
因みに緑区に多数ある寺のなかで仁王門を備えるのは海岸寺だけだそうで
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天井に龍が描かれた山門をくぐり正面の石段を登ります
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白祐山海岸寺の創建は天正2年(1574年)、時の織田信長の命によるものです
本尊は定朝(宇治平等院の国宝木造阿弥陀如来座像等手がける)作の聖観世音菩薩を安置します
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善光寺全景
海岸寺の開山は1574年、当初大高川の河口海岸付近に「源光院」として始まったらしい
1694年(元禄7)の由緒書で現在の海岸寺に改称されたという

1757年(宝暦7)に現在の地に移転、広い寺域と伽藍を有していた様です
寛政(1848~1853)頃の記録では海岸寺、源光院、三光坊のみで他は荒廃していったようです
当時の伽藍が記していないものか調べて見るも辿り着けませんでした

嘉永年間(1848~1853)に火災に遭いましたが、1943年(昭和18)に本堂や仁王門を新築、境内整備が行われ現在の寺観になった様です
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境内側から山門の軒下を見上げる
そこには般若の面が掲げられ、こちらを睨んでいます
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山門天井に淡い色合いで描かれた龍
山門が新築されたのは昭和に入ってから、なので近代に描かれたものです
訪れる者を威圧する迫力は、海岸寺の印象を強烈に焼き付ける見応えのある作品です
緑区の紹介では本堂や客殿の襖絵にも龍が描かれていて、画家の中村哲也氏の作とあり、何れもすばらしいものだといいます、機会があれば見たいものです

新しい作りの外観ですが、この地が海岸だった頃から続く歴史を重ねた寺です

海岸寺
宗派 / 天台宗
山号 / 白祐山
創建 / 1574年(天正2年)
本尊 / 聖観世音菩薩・一光三尊阿弥陀如来
寺宝及び文化財 / 聖観世音菩薩像、金比羅天像、大黒天像、一光三尊阿弥陀如来
住所 / 名古屋市緑区大高町田中14
アクセス / ​JR東海道本線「大高」下車西へ徒歩15分程