鳥取県 「鳥取砂丘と砂の美術館(第13期チェコ&スロバキア編)鑑賞」

予定外で訪れた倭文神社の参拝を終え、二日目の目的地鳥取砂丘を目指す。
先を急ぎたいが、車の燃料も心もとない、来た道を戻り給油。
今にも降り出しそうな空は何とかもっている、雨雲と競い合うように砂丘を目指す。
雨の砂丘だけは避けたいもの。

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倭文神社からは県道234号線➡県道185号線➡山陰自動車道国道9号線鳥取西IC➡県道265号線経由し鳥取砂丘ビジターセンターの駐車場まで約1時間ほどの移動時間。
今にも降り出しそうな天気だが取り敢えず間に合う事が出来た。
靴を履き替え砂丘に向かう。

f:id:owari-nagoya55:20220103092349j:plain山陰海岸国立公園鳥取砂丘山陰海岸マップ。
腰を据えて訪れないと見所満載で徘徊しきれない。

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砂丘は子供の頃に訪れた記憶が残る、当時はちびっこだったので今とはスケール感も違うだろうが、砂漠に来た印象だったのを覚えている。
それはかみさんも同様。
彼女の記憶に残るラクダと一面砂の世界をもう一度訪れたい、彼女の希望で計画に盛り込まれた。
それだけに雨は勘弁してほしかった。

f:id:owari-nagoya55:20220103092430j:plainビジターセンターの後方から階段を上ると、目の前に砂丘が広がる。
スケール感はお互いの記憶とは随分ギャップがある。
子供の視線の高さとは違うけれどこの絵の印象は変っていないようだ。
風紋を探しに砂丘に踏み入れる。

f:id:owari-nagoya55:20220103092452j:plain鳥取砂丘は一般人が立ち入れるものとしては日本一。

真の日本一は青森県にあり自衛隊の管理地の猿ヶ森砂丘、大きさは鳥取砂丘の約3倍、総面積が約15,000㌶あるという、実感が沸かない大きさ。
それでも気軽に観光できる砂丘としては日本一。
浸食運搬堆積って小さい頃聞いた覚えがある、自然の造りだした産物だ。
歳を重ねて改めて見る砂丘は子供の頃とは違いコンパクトな印象。
とは言っても目の前に見える馬の背までの道のりは遠い。

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訪れた時は修学旅行で訪れた学生が砂を踏みしめ、足跡と共に思い出を刻む光景があった。

足跡はすぐに風が消し去るけれど、馬の背を駆け下った記憶は消える事はないだろう。
その光景を見て「こけろ!」と念じるギャラリーもいる、そんな期待も空しく誰一人転ばない。
若いというのか、流石と云うしかあるまい、こちらは砂に足を取られ思うに任せないというのに・・・。

f:id:owari-nagoya55:20220103092538j:plain観光客は少ないとはいえ砂丘は至る所足跡だらけ、足跡のないサラサラの場所を見付けるのは結構難しい。
風紋を撮ってはみたがなんだかなァ、曇りでは陰影もなくイメージとは違う。
きれいな風紋は朝夕が陰影も強調されいい時間なのかもしれない。雨が降らないだけも良しとしよう。
馬の背から砂浜の先の日本海を眺めながら一休み、そして再び砂と格闘しヘロヘロになって駐車場に戻る。
我慢していた空も遂に泣き出した、靴を履き替え、傘を手にして次の目的地「砂の美術館」まで歩く。
本気で降り出した雨、このタイミングでこれから砂丘に向かう修学旅行生の姿が気の毒に思える。

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駐車場から砂の美術館までは徒歩で10分もかからない、砂丘さえ体感すれば雨が降ろうと支障はない、
運が良かった。
砂の美術館外観、駐車場は満車で歩いて正解だった。

f:id:owari-nagoya55:20220103092626j:plain砂の美術館入口のモニュメントも砂で作られている。
かみさんの目的の一つにこちらで開催されている「砂で世界旅行 チェコスロバキア編」を見ることもあった。

f:id:owari-nagoya55:20220103092651j:plain砂像は見かける事はあっても作り方まではしらなかった。
砂団子の要領くらいにしか思っていなかった、ある意味似ている。
糊等使わず圧縮された砂の粒子だけで形造られ、土台から削り出して形作られた作品は目を見張るものがあり、白兎神社の砂像もそうして作られたもの。
時間と共に崩れ去る一点ものの作品なので覆い屋の下に置かれていたのも当然の事だろう。

砂の美術館では毎年テーマを変え世界各地から砂像彫刻家を召集、テーマを変えて展示するそうで、今回のチェコスロバキア編が第13期だという。
2020年7月~2021年1月の開催期間がコロナ禍により2022年1月3日まで延長され展示されていた。
1月3日以降は次の第14期に向け7月まで閉館、この間に新たな作品作りが行われる。
既に開催期間を終えようとしているが、内容は写真を見て味わってもらえればと思います。

2020年が日本とチェコ・スロバキアの国交が樹立100年の節目にあたり、それを記念してチェコスロバキアがテーマにされたようです。
大きな展示場には絵本に出てくるようなチェコ・スロバキアの街並や雄大な自然、長い歴史の中で刻まれた出来事や神秘的な伝説が砂像として描かれ展示されています。

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上が展示されている作品の解説。
全てを写真に収めましたが人の映り込みが激しく全て載せきれていません。

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上は館内二階から見た展示物の様子。

広い館内一杯に砂像が所狭しと展示され、場内はチェコ・スロバキアの趣が漂う。
上方の城がプラハ城、世界で一番大きく古い城と云われるそうだ。
下方が世界遺産の街チェスキー・クルムロフ。
館内照明だけで着色など施されていない砂の色合いですが、精密に彫られた街並みからは色や街の持つ空気までも漂ってくる。
砂だけに制作中に崩れてしまう事はないのだろうか。
ワォ、保存してないのにPCフリーズしてしまった、最初からやり直しかよォ、復元もない。
ショックはこんなもんではないな。地道で根気のいる作業だ。

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上 「ボヘミアン・パラダイス」
600万年前の地層を含む無数の巨岩が立ち並ぶ雄大な風土とそこに住む人々を描いたもの。
下 「スピシュ城とモンゴルの襲来」
スロバキア東部の世界遺産廃城スピシュ城、13世紀モンゴル帝国の支配が広がるなか、小型の弓と巧みな戦術で戦禍を免れたという、その光景を現した作品。
人物に目が行くが城や周辺の描写も見事に描かれている。

f:id:owari-nagoya55:20220103092820j:plain上 「天文時計とセドレツ納骨堂」
15世紀に造られたプラハに旧市街の時計塔、上部に太陽と月の位置、時刻を示す天文図文字盤、下には星座と農村の四季の作業が分かる暦盤が作られている。
周囲の骸骨はチェコには人骨を装飾に使用する教会があり、セドレツ納骨堂の壁面装飾をモチーフに時計塔の周囲に配した作品。

「リブシュの予感」(右)と「ルドルフ2世とルネサンスの影響」(左)

f:id:owari-nagoya55:20220103092848j:plain嘗てのチェコは予言能力を持つ賢く美しい女性リブシュが治めていたとされ、彼女の予言からプラハの街とプラハ城が生まれたと云う。

f:id:owari-nagoya55:20220103092912j:plain上 「ヤン・フスと火刑」
ヤン・フスチェコ宗教改革者。
教会が政治にも権力を持っていた14世紀、ヤン・フスは教会のあるべき姿を説き民衆から支持を集めるが、やがて協会から異端児として火刑に処されるが最後までその信念は変えなかったと云う。
下 「ルドルフ2世とルネサンスの影響」
ルドルフ2世はプラハの文化発展に貢献しルネサンスを定着させ、プラハを芸術、科学、文化の都として名を馳せた立役者。

f:id:owari-nagoya55:20220103092939j:plainプラハ城とカレル橋とヴルタヴア川の風景」
プラハ城と旧市街を結ぶ世界遺産の石橋でその先に予言で作られた街とプラハ城が描かれている。
最初に何処から彫り出したものか、個別に造り並べたものなのか分からないが細部まで詳細に彫られた壮大な作品だ。

f:id:owari-nagoya55:20220103093000j:plainカレル橋にはこうした聖人像が並びその先のプラハ城に続き、その像ひとつ〃の表情や衣服の質感は砂から彫られたものとは思えないもの。

f:id:owari-nagoya55:20220103093021j:plain「ゴーレム伝説」
ユダヤ教の古い伝承に登場し、ゴーレムとはヘブライ語で「胎児」を意味する土人形で、作った者の指示しか従わないと云う。それもやがて守られ無くなり遂には元の土に戻されたという。
ゴーレムの身に着けるボロボロの服が生きもののように伸びていき、制御不能になった様を表しているのかもしれない。
その土は今もプラハにあるユダヤ教の協会の屋根裏部屋に眠っているという。

f:id:owari-nagoya55:20220103093042j:plain中欧の野生動物」
広大な自然が育む野生動物がこのブロック一つに彫られ、熊や立派な角を持つ鹿、フクロウや狐、遠吠えする狼など立体的に彫られている。会場の作品はどれも素晴らしいけれど個人的に一番見入った作品の一つ。蛇はいないんだ。

f:id:owari-nagoya55:20220103093102j:plain蛇はいないが会場出口に巨大な奴が展示されている「ドラゴン伝説」
翼を持つ長いやつ、伝説には欠かせないキャラクターとして登場する、龍にしたって、ヘビにしたってどこの国でも長い物は神聖化されるのだろう。
龍やドラゴン系の長い物は許容範囲、しかし蛇だけは受け入れにくい。
若い頃に沢を上りながら釣り歩いていた時、ふと岩に手をかけたつもりが日光浴中の蛇を掴んでいたのがトラウマになってしまった。
それでも釣はやめなかったが、長いものとの付き合い方は今も分からず好きになれない。
倭文神社の蛇の巣伝説? なんと恐ろしい。

話がそれましたが、砂丘と見事な砂像を鑑賞し鳥取砂丘を後にする。
二日目の予定はこれでおしまい、一路宿泊地の城崎温泉の宿に向かい温泉街を徘徊する。
おやじには最大のお楽しみかも知れない。
2021/10/25

鳥取砂丘
所在地 / ​鳥取県鳥取市福部町湯山

「砂の美術館」
所在地 / ​​鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17​​
倭文神社から車アクセス / 県道234号線➡県道185号線➡山陰自動車道国道9号線鳥取西IC➡県道265号線経由、鳥取砂丘ビジターセンター駐車場まで​約1時間ほど


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