おさすり佛。
前回掲載した神野神社、その社頭から北を望むと目と鼻の先に右まんじの幟がはためく小さな堂が佇んでいるのに気づき立ち寄ってみました。

下町の佇まいを感じる、面白い形の煙突を備えた企業の敷地の一部に小さな堂が祀られています。
大正初期は水田が一面広がっていた一帯、それ以降に町割が行われてから祀られたものかと思われます。

おさすり佛全景。
小さな覆屋の軒下に張られた奉納幕の紫が鮮やかで、この辺りに住まわれる方から今も崇敬されているのが伝わってきます。

中には石仏が安置されているものと思いきや、実際には艶のある丸い石が安置されていました。
真新しい座布団の上に置かれた「おさすり佛」について、謂れや由緒を調べてみましたが、明確な情報には出会えませんでした。
比較的新しい地域なので、恐らく大正から昭和にかけてこの町角に祀られたものでしょう。

一体の石仏の頭部を安置したと言うより、もとからこの丸い石をおさすり佛として祀ったような気がします。
座布団の上に安置されたおさすり佛の姿から、ともすれば重軽石の様に持ち上げるものかと思われそうですがとても持ち上げられる代物ではありません。
おさすり佛の名からも、様々な願いをかけこの石を撫でる事で成就するものなんでしょう。
願いをかけ撫でるのが作法でしょう、石の艶やかな表面が多くの願をかけられてきた証です。

一歩近寄り石の前面を眺めてみると、眉間に白毫が刻まれ笑みを浮かべた仏の顔に見えてきました。
それでは「家族が健康でありますように」ナデナデ。

おさすり佛
建立時期 / 不明
所在地 / 名古屋市熱田区神野町1
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神野神社から「おさすり佛」徒歩ルート / ​北へ1分