主税町 屋根神さま

主税町筋を国道19号方向の東に進むと、城下町の名残を留める棟続きの建物が僅かに残る区域があります。
国道19号線からなら平田町北交差点を西に入ったあたりになります。

f:id:owari-nagoya55:20200725082347j:plain 「主税町」なんて読むんだぁ?と思った方もいると思います、これで「ちからまち」と読みます。
町名の由来は尾張藩士の野呂瀬 主税助(ちからのすけ)が屋敷を構えたことから付いたとされます。

f:id:owari-nagoya55:20200725082408j:plainこうした趣のある町並みには雨が似合う。
街中にあって静かな通りはしっとりとした落ち着いた雰囲気が漂います。
こうした道筋には軒の神さまとの出逢いがあったりして歩く楽しみにもなり、ついつい軒下に視線が行きがちになります。

f:id:owari-nagoya55:20200725082433j:plain 東区主税町4丁目来ると以前は軒下に祀られていたであろう屋根神さまが一階軒下に祀られています。
地上から高く積まれた台座の上に祀られた社、その中には提灯も吊られ今も現役の様子。

f:id:owari-nagoya55:20200725082456j:plainこの社がこの状態で祀られるようになったのかは定かではありませんが、棟続きの住宅が立ち並んでいた頃には、町内の災い除けとして見通しの良い二階の軒下から町内を見守っていたと思います。

そうした光景も時の移り変わりと共に、棟続きの住宅は歯抜けになり廃社になったり、社の手入れをされる方の高齢化に伴い、梯子を使ってお世話をするのも難しくなる。
住環境の向上を図れば、屋根神さまの居場所は変わっていく。
そうして見ると、ここ主税町4丁目の屋根神さまは恵まれているのかも知れない。

地に下りた屋根神さまは人目に付く、社の前を通りがかった際に小さな我が子から「これなに?」と聞かれたら説明も必要だろう。
その内容によっては、子供なりにこの箱の捉え方が違ったものになるのかもしれない。

余談になりますが、昨年諏訪湖周辺を訪れた時の事、集団登校の小さなグループを見かけました。
道端のお地蔵様の前でペコッとお辞儀をしていく光景を見かけ、それが今も印象に残っている。
親や地域の人から、彼らがそうしたくなる上手な説明がされているのだろう。
さあ、この箱を子供に尋ねられたらどう回答しようか? 

f:id:owari-nagoya55:20200725082519j:plain 話を戻して、こうして住宅が集まると、地域の厄除けとして津島神社、火伏の秋葉神社、地域の氏神様を祀り、屋根神さまを中心に神社当番の様な町内の人の結びつきが生まれていきます。

f:id:owari-nagoya55:20200725082539j:plain

 何かを中心に住民のコミュニケーションが取れている間はいいけれど、それがなくなると意外にご近所様の顔や名前も分からなくなるのは早いものです。

姿を消す屋根神さまが多い中、ここはそんな心配は当分なさそうです。

主税町 屋根神さま
創建 / 不明
祭神 / 秋葉社熱田神宮、津島社
住所 / ​名古屋市東区主税町4丁目​   ​屋根神から5分
関連記事 / 屋根神さま