毛鉤づくり、再びチャレンジ

危険な暑さが続く毎日、日中は外出せずオオタニサンの応援に徹している。
休みなく出場し続けるオオタニサンの思いとは裏腹に、チームはなんだか覇気がない。
討ち取られたっていい、下を向かず悔しさをもっと表に出してもいいように思う。
このままレギュラーシーズンで終わってしまいそうな予感が漂う。
そんなこって最近は夕涼みがてらに近くの河原へ散歩に出かけるのがお決まりのコースとなってきた。

夕刻ともなると川面には虫を追うシラハエの姿をよく見かける。
そんな光景を見ると老眼を忘れて見えもしない毛鉤を振りたくなる。
この時期は産卵を控え、真赤な婚姻色で身を纏ったシラハエに出逢える時期。
6年前に実に30年振りに毛鉤を作ってみたが、手元がさっぱり見えなくて悪戦苦闘、2本作るのが精一杯で強烈に視力の衰えを感じた。
性懲りもなく再び毛鉤を作ってみた。

持っているツールや素材は既に30年は過ぎたもの、シラハエサイズの針とスレッドがなく買い足しに行きましたが、昔に比べ針やスレッドの価格は驚くものだった。
針のサイズは#18、やや大きなサイズですが、この大きさが視力の限界。
10㍍程先なら何とかシルエットで分かる・・・かもしれない。

ツールも色々揃えたけれど、使う物はだいたいこれだけあれば事足りる。
手の込んだ毛鉤を作る視力もないので、ボデーと羽を巻くだけのシンプルなものが一番。

シラハエ用は昔からこれで十分楽しめたので今回も同じ。
6年前は一回りも大きな針を使ってみましたが、それでさえ自分にイラつくほど苦労したが、今回は無理を承知で小さめのサイズにしてみた。

下糸(スレッド)で針の胴体に下巻して……スレッドに黒の毛糸(フライライト)を絡ませて……

ぐるぐると巻き付けていって、なんとなく虫の胴体の形に似せて形作り、ウィップフィニッシャー(糸縛り器)でスレッドを針に縛り、余計なもじゃもじゃを切り落として散髪。
 

 ビンテージ物の黒の羽を二枚。

 

それを先端にスレッドで巻き留めて、クモの糸のようなスレッドが切れても羽が外れないように、ここでも糸縛り器で巻き留めます。

ハックルプライヤー(羽挟み金具)を羽の先端を挟み、ぐるぐる巻き付け、先端で再び糸縛り器で巻き留め、ハックルプライヤーで挟んでいて巻けなかった羽を切り落とす。

二枚目の羽も同じ要領でぐるぐると巻き、毛むくじゃらにして糸縛り器巻き留めますが、縛り目は1枚目に以上に何回〃も巻き留めます、接着剤で固めないので2枚目の縛りはしっかりと。
そして最後にスレッドを切って毛むくじゃら完成。

左が羽二枚のもの、右は1枚のもの。
二枚のものは水面に浮きやすく、風で水面を転がり虫が動いて見える。
一枚のものは沈みやすく、水面より少し下(つまり見えない)で釣り糸の張りや、竿先の感覚で魚を感じ取る場合に使います。
毛むくじゃらで虫っぽくないかもしれませんが、形態に拘るよりその時期の虫の大きさに合わせ、自分が見やすい物を作った方がいいかもしれない。
どれだけ忠実に虫に似せて作っても釣れる時はなんでも釣れる傾向にあります。
若い頃作ったイミテーション毛鉤、時間と手間をかけ作り上げても一回魚が針掛かりすれば原形はなくなります。
一日1本の針で楽しむ(針の交換は面倒)には無理がある、そんなことから未だに在庫として残っています。
加齢にともない拡大鏡がなければさっぱり見えないだけに、シンプルで見やすく、簡単に作れるものが一番。

若い頃は何でもなかった些細なことが歳を重ねると全てが難しくなります、若いうちに興味を持ったことはやっておくべきです。
老化はいつか必ず訪れます。


これで針は出来た、立て続けに襲来する台風が過ぎ去った後、夕方の散歩にはポケットに忍ばせて河原に降りてみよう、あわよくば婚姻色のシラハエを写真に収めることが出来るかもしれない。

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