真言宗「大草山三光院」

長久手市松杁 「大草山 三光院」
以前掲載した「永見寺、熊野社、大草城址御嶽神社
そこから東に5分も歩けば今回取り上げる三光院が鎮座します。

少し離れた香流川から三光院の眺め。
中央に二本の満開の桜が見える場所が三光院、左手に見える小高い山が永見寺。
ここまで来ると香流川の水深は浅く流れも細くなる。
堤沿いにはツクシが生え、シラハエが群れて泳ぐ姿も見られ長閑な環境が残る。

三光院門前からの眺め。
右手に「十一面観世音菩薩 大草山 三光院」の寺号標がある。
駐車場としては特になく、参道先の境内左側に停めさせていただく以外に駐車余地はないようです。

参道左側の三十三観音堂。
後方に先程の二本の桜、折しも満開を迎え青空に映えていた。

城東西国三十三観音霊場の33番札所で三光院は結願寺になります。
ここに安置された三十三観音を拝めば霊場を巡らなくても同等の御利益を得られると云う。

境内の桜は風に吹かれ散り始めていた。
この光景も見納めになる。

境内右の手水鉢とその先に社が祀られている、中央の黒い石標に清水稲荷と彫られている。

三光院本堂全景。

入母屋瓦葺の平入で大きな向拝を持つ。
山号大草山真言宗醍醐派の寺院、京都三宝院の末寺という。

永見寺の開基が1341年(興国2)だったが、三光院の創建は1437年(永享10)と伝わる。
この寺も長久手市の中では古刹の寺院だ。
古くから大草村集落の人々に崇敬を受けてきた。

本尊は十一面観音。
堂内には300年以上前の1681年に馬の塔(オマント)を描いた絵馬が奉納されているという。
馬の塔(オマント)は、尾張・西三河で受け継がれて来た祭礼風習、標具(だし)と呼ばれる札や御幣を立て、装飾された馬具で飾られた馬を社寺に奉献し雨乞いや豊作などを祈願するもの。
絵馬には飾り立てた馬を引く光景が描かれているという。

戦後生まれの自分が子供の頃、地元の町を普通に馬が歩く光景を見たが、現在では馬が町を歩くなど「うっそぉ~」と云われるだろう。今や郊外に出ても馬を飼育するところも見なくなった。

余談ですが、何年か前に金山で信号待ちしていた時、目の前の横断歩道をリードに牽かれた「やぎ」が悠々と渡っていく光景を見た。
名古屋も牧歌的でいい街だなぁとほっこりとしたものだ。

本堂斜景、向拝を強調したかったが今一つ。
この辺りでは古刹とされる永見寺と三光院ですが、どともに古びて痛々しいと感じる事はない。
強いて言えば三光院の方が最後の補修から年月を経ているようです。

本堂に架けられた城東三十三観音と寺号札。
中央のものは額だろうか?

拡大して見ると龍にも見えなくもない、右に「普」の文字も見えるが分からない。

水稲荷。

狛狐が参道から訪れる来訪者を窺っている。

水稲荷の由緒は不明。

石標の裏に縁起が書かれていたかもしれないが見忘れました。
集落の五穀豊穣を祈願するために祀られたのだろう。
周囲に田畑は今も多く残る、ウン十年前の若かりし頃と比較すれば今は随分と少なくなった。
東方には観覧車がそそり立ち、ジブリパークも着々と工事が進む。
長閑な光景は薄れ、狐の存在も薄れていくのかナ。
よもや香の煙が漂う川までも蓋がされる事になるのだろうか。

三光院
宗派 / 真言宗醍醐寺
山号 / 大草山
創建 / 不明
本尊 / 十一面観音
境内社 / 清水稲荷社
札所 / 尾張城東三十三所観音霊場三十三番札所
所在地 / ​長久手市松杁1855
公共交通機関アクセス / ---
徒歩ルート(永見寺駐車場から) / ​​東に5分​​
参拝日 / 2022/04/06
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