『麻積(おみ)神社』長野県飯田市

長野県飯田市座光寺市場2516
 元善光寺から県道229号線を1~2分程西に向かう、県道沿いに麻積(おみ)神社の大きな石鳥居が目に止まる。

県道沿いの鳥居から北西に見える社叢に向かい参道がまっ直ぐに続いていきます。
 参道は車の往来がある生活道路も兼ねている。
駐車場はこの参道突き当りの左と右上に無料の参拝者駐車場が用意されています。

 麻積(おみ)神社の鎮座地は、南の天竜川から北は標高1270㍍の座光寺富士までの細長い座光寺地区のほぼ中央に位置します。
 麻積(おみ)の由来は、飯田市松尾から松川町一帯にかけて麻の栽培に適した場所で「麻を績」からきているそうです。

麻積神社鳥居の扁額 。
 内大臣三条實美の揮毫によるもの。
この石鳥居は1888年(明治21)に建てられたもので、使用された石材は上郷姫宮と高森町大島山の石材から作られ、高さは5.6㍍、笠の長さは9㍍余りで飯田・下伊那地区では最大の石鳥居という。


駐車場から望む麻積神社社頭。

座光寺周辺観光マップ。
 社地には麻績学校第一次校地校舎や麻績の里舞台桜、神社後方には400年程以前に築城された南本城跡などがあり、このマップから左に進むと石塚第一、第二古墳などが点在する。

旧学校大石垣
館か砦をイメージさせる長く続く石垣。
 1898年(明治31)に麻績学校校舎拡張に伴い作られたもので、以前は傾斜地にクヌギの木が生えた子供の遊び場だったという。

石段左の大きな枝振りの樹は麻積の里舞台桜。
 その先に麻積神社ニノ鳥居。


「麻績の里 舞台桜」
シダレザクラの一本桜で、この時期は濃い緑の葉が生い茂っている、花の時期にはライトアップもされると云う。
 樹齢は定かではないようで350年~400年と推定され、5~10弁の花が交じり合って咲く「半八重枝垂れ紅彼岸桜」と呼ばれ、市の天然記念物に指定されていという。

座光寺麻績学校校舎(長野県指定有形文化財)
1873年(明治6)には麻績神社境内に建てられたもので、舞台校舎と呼ばれていた。
 飯田や下伊那では人形芝居や歌舞伎が盛んな地で、入母屋瓦葺二階建ての建物は学校と舞台の2つの機能を持ち一階が歌舞伎舞台として作られたもの。

ニノ鳥居と石段右の手水鉢。

ニノ鳥居をくぐると正面の石段と左右に参道が伸び、左の参道を進むと南本城に続く。
 ここから右に進むと二つの神霊碑がある。

鳥居左に琴平大神と秋葉大神の大きな石標がある。

秋葉大神石標の側面には切り出した時の鑿跡が残っていた。

石段を上り詰めた先の狛犬昭和3年寄進のもの。

深い社叢を持っているが社殿周辺は開けて明るい、ある意味容赦なく陽射しが差し込む。
 境内は社務所から拝殿に続き、左に島三社と境内社が主な伽藍。

拝殿全景、切妻平入の瓦葺の建物で創建年代は不明。
 伝承では天正年間(1573年~1593年)より以前の開創とも伝わり、天正年間以前は八幡社、天和2年(1682)に大宮社の社殿が建立されたという。
呼称も八幡社、大宮大明神社(江戸後期からは諏訪大明神)と呼ばれたそうですが、1867年(明治6)から「麻績神社」と呼ばれるようになったと云います。 
参道は二つに分かれ拝殿に続く。

向かって左が麻積諏訪社、左に麻積八幡宮とあった。
 参拝を終え内部を窺うも本殿の姿は望めず、拝殿の先にある鞘堂も見通せなかった。
祭神は八幡宮の祭神で産土神誉田別命と、諏訪社祭神の建御名方命を祀る。

拝殿左の島三社拝殿。
 切妻瓦葺の妻入り拝殿で吹き抜けの外陣と内陣に分かれている。
妻壁や木鼻などに彫が施され、頭貫には見事な龍が描かれている。
 扁額の島の文字も個性的なもの、島で良いのか今一つ自信が無いがここは島としておこう。

外陣には奉納された弓が飾れていた。
 内陣左に掲げられている扁額「島大明神社」から調べて見たが創建祭神などの詳細は分からなかった。

地史を調べるしかなさそうだ。

 島三社拝殿左奥に7社を祀る覆屋がある。
左から受持神、伊雑皇社、秋葉社、社宮司社、子安社、疱瘡神社、浅間社の7社で、境内に舞台校舎が建設される以前は、そこに「九つの境内社」が祀られていたそうです。

 これがそれにあたるのかは定かではないが、この一帯にはこの七社の他に複数の社が祀られています。

覆屋左脇に境内社が二社。

その前にも一社祀られている。

間違っても触れたくない絶妙なバランスの石灯籠。

 竿に当たる部分に文字が刻まれていたが元治の元号(1864~1865)以外は読み取れなかった。
この社も詳細は分からなかった。
 
後方は島三社拝殿、その横にも一社祀られているがこちらも詳細は分からない。


絶妙なバランスの石灯籠の左側にも・・・・・

ニノ鳥居から右に祀られていた神霊碑。

麻積神社境内から南の眺め。
 眼下には氏子の住む座光寺地区が広がり、その先には天竜川と南アルプスの山並みが連なる。

神社入口の南本城遊歩道の案内板。

 駐車場から往復1時間程の距離にあり、車輪や土塁、空堀などが残っているという。

麻積(おみ)績社
創建 / 不明
祭神 / 建御名方命誉田別命
境内社 / 受持神、伊雑皇社、秋葉社、社宮司社、子安社、疱瘡神社、浅間社、島三社、琴平大神、秋葉大神
所在地 / 長野県飯田市座光寺市場2516
参拝日 / 2022/5/25
元善光寺駐車場から車アクセス / ​所要時間2分程
関連記事 /