知多四国巡りで亀崎を訪れた際の事、先回掲載した東光寺から次の札所に向かう道すがら、東光寺に続く坂「弘法坂」の手前に小さなお堂を見つけました。
亀崎町内で多くの地蔵を安置した祠を見かけることになり、今回はこの地蔵について。
亀崎は古くからの町で、漁業や回船、醸造などが発祥し、それらが町の発展に寄与した時代もありました。特に現在の海岸線を走る国道から一本中に入った仲町通りの道筋や街並みに昔の名残を感じます。
こうした場所に普段見かけることない光景が目に入ってきます。
それは少し古めの民家で見かけます、屋根神様のように、建物の壁面に小さなお堂が作られ、そこには地蔵が祀られている光景です。
中には新築間もない民家でもお地蔵様のスペースが与えられていたりする。
こうした地蔵は鬼門地蔵と呼ぶそうだ。
自分自身鬼門や風水は気にしない方、鬼門とは鬼が出入りすると云われる北東の方角を指し、陰陽道では古来から忌み嫌う方角。
この亀崎には家々に鬼門にあたる場所に祠やお堂が祀られている。
それらは一部を除き公共の物ではなく個人所有のもの、ずか〃入り込んで写真を撮るのは少し違うかもしれない。
そんな個人所有の地蔵ですが、町内各所や町内の井戸あたりに公共の地蔵が祀られています。
今回は亀崎の鬼門地蔵を取り上げます。上は弘法坂の手前左に祀られた地蔵堂。
これは公共の地蔵だと思われます。
このお堂から左手の小高い高台にある秋葉社を目指し歩いていきます。
路の右隅に井戸があり、その傍らにもお堂が建っていました。
井戸は現在も生きていて、防災用としての役割を担っているようで、亀崎ではこうした道端に井戸を見かけます。この地蔵は恐らく地域の地蔵だと思います。
こうした地蔵堂、JR亀崎駅から東光寺までの比較的区割りの進んだ地域では目にしませんでしたが、
東光寺から弘法坂を下り、古い区割りの細い路地に入るにしたがって目につくようになります。
車では通れない、人もすれ違うのに気を遣う細い路地、地元では「せこみち」と呼ばれることもあるそうです。
地蔵さんのアップ。
帽子や前掛けをかけられた地蔵さん、その表情はそれぞれ特徴があり、このお地蔵さんの表情はなんだかこちらを見てに「ニヤッ」とほほ笑んでいるように見える。
井戸は日常使いとして利用されているのか分からないけれど、日常使われているとすれば井戸を中心とした交流の場となっているのかもしれない。
これらのお地蔵さまに供えられている花を見ても、枯れたものはなく、日々世話をしてもらっているようだ、人の集う身近なところにお地蔵さまがいる、個人宅の鬼門地蔵はもっと身近な存在なんだろう。
新しい住宅が増え街並みは変わろうとしているけれど、それでも黒壁の建物が残る街並みに鬼門地蔵の祠のある光景はなくしてしまったひと昔前の光景を見るようだ。
なんとなく、道端で道祖神を見かける信州でも歩いている感覚になる。
道草ばかりしてられない、かみさんは次の札所に向けどんどん先を行く。
おやじは目の前の高みに鎮座する秋葉社に参拝しておきたい、こんどゆっくりみて回る事にして先に進もう。
鬼門地蔵
東光寺からの道筋 / 徒歩2~3分
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