2021/10/26
一ノ宮巡りでこちら方面を訪れ、兵庫県の城崎温泉に宿を取り、翌日の早朝に訪れた「玄武洞」
今回はそちらを取り上げます。
山々に雲が垂れこみ水墨画の様な光景は早起きのご褒美。
雲海に浮かぶ竹田城も足を延ばせる場所だけに、予定変更して目指したくなるがドラマは短い、諦めよう。
城崎温泉で迎えた当日の最大の目玉(おやじ的に)「玄武洞」に揺らぎはない。
城崎温泉から玄武洞までは円山川対岸を車で10分もあれば到着できる距離です。
前日の雨は上がり切らず、霧雨の様な天候。
玄武洞公園の前に車を停め、円山川右岸の河畔に建つ石の博物館「玄武洞ミュージアム」を眺める。
この時間は会館前、中には世界中から集めた珍しい石や鉱物、化石など約2500点収蔵されていて、右側の別棟には土産やレストラン・カフェなどの施設もある。
玄武洞のある玄武洞公園はこの施設の向かいの山側にあります。
駐車場から続く階段を上った先が玄武洞公園で、円山川右岸の山肌から露出した柱状節理や洞窟があり、国の天然記念物に指定され、山陰海岸国立公園に含まれる絶景が広がります。
主となる玄武洞のほかに、青龍洞、白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞の洞窟が連なり玄武洞公園として整備されています。
公園と云っても施設は休憩所とトイレがあるくらいで、観光客目当ての店は並んでいない。
「玄武洞」は国の天然記念物に指定され、周辺地域一帯は、1963年(昭和38)に山陰海岸国立公園となり、現在に至っています。
柱状節理自体は地元名古屋に近い所で行けば福井県の東尋坊や三重県の香落渓谷でも見ることが出来ます。
こちらのものは大自然が造り上げたうねりの造形美、人の及びもつかない自然の圧倒的な力を感じることが出来ます。
「玄武岩」の名は良く耳にすると思います、これは玄武洞からこの名が来ているようです。
1884年(明治17)岩石の日本名を制定する際に玄武洞の名に因んで「玄武岩」と命名されたようで、言ってみれば玄武岩の発祥の地と云っても良いのかもしれない。
ここの玄武岩の持つ磁気は、現在の地磁気と反対の向きを指していることが発見され、この地の玄武岩が出来た当時の地球の磁場は反転していたとされ、その説は後に260万年前から78万年前まで逆転していたことが広く認められるようになったという。
なんともSF映画を彷彿とするような発見がこの地からもたらせられた。
160万年前の火山活動で流れ出したマグマが、冷えて固まる時に作り出した規則正しいきれいな割れ目は柱状節理と呼ばれ玄武洞の始まりで、約6000年前に地上に隆起し、波に洗われ姿を現したのが現在の玄武洞、と云われていますがそんな火山があったのは事実だろう、その火山とはまで明確に言及されないのは何か消化不良気味な感じがしてならない。
「そんな火山があったのね」でサラッと流せばいいんだろうが、城崎温泉の源泉の熱量は紛れもなく地下に秘めている事を思うと・・・なんだろう?
ついつい考えたりもする。
なんだろう?から流れ出た溶岩は柱状節理として露出し、人が採取し洞窟となって行き、現在の姿になったようです。
採掘された岩は人の営みに利用され、石垣や身近なところでは漬物石などにも利用され、江戸時代の1807年(文化4)に幕府の儒官、柴野栗山により「玄武洞」の名が付いたとされます。
玄武洞。
公園に入り最初に異様な光景を魅せてくれるのがこの玄武洞。
右には社が祀られているようなので向かってみました。
成田山不動明王と彫られた石標、これも柱状節理の岩を利用したものかもしれない。
規則正しく綺麗に面が整ったこの岩は、様々な使い方に対応できそうだ。
「成田不動尊」社殿全景と解説。
玄武洞を訪れた全ての人々に玄武洞不動明王のご利益を授かれるという。
これは参拝しておくしかないだろう。
創建等詳細は調べきれませんでしたが、本尊は不動明王。
玄武洞と火山活動についての解説。
「火山の形は残っていません」とある、それはそれでいいのだが…
玄武岩溶岩の厚い層が形成され、むき出しとなった玄武洞。
マグマが冷却され体積が収縮して出来る割れ目(節理)は切り出しやすかったのだろう。
これを人々が採掘し、その採掘跡が洞窟として残った人口の洞窟。
ここから切り出された玄武岩は城崎温泉街の護岸や豊岡の石積みなどに利用されたという。
綺麗に整った5~8角の石柱は写真右手にも断面として現れています。
断面が見えるかと思えば側面が現れ、溶岩の複雑なうねりが見られる。
想像もつかない自然の造形が目の前に現れている。
玄武洞の名の由来と人とのつながりを伝える解説板。
現在見る玄武洞は1925年(大正14)の北但馬地震による震度6の揺れで崩落した後のもので、案内板には崩落前は巨大な洞窟が幾つもあった事を伝えています。
青龍洞。
成田不動尊から右に進んだ先に露出する岩壁。
横方向の流れが多かった玄武洞に対し、こちらは縦方向にうねりながら流れたのが見て取れる。
岩壁の前には小さな池(願掛け池)があり、水面に写る柱状節理の姿は池の主「龍」をイメージさせるものがある。思わず賽銭を投げ込みたくなる、不思議な空間。
鏡の様な願掛け池の水面に青龍洞や四季折々の景観が写り込む姿も美しい事だろう。
縦の流れに、右からも上方向に流れ込んでいる。
なんという地形、そして岩盤の上に堆積した僅かな地表に根をおろす樹々の生命力。
圧倒的な自然の造形美と生命の逞しさに唯々佇むのみ。
青龍洞解説。
玄武洞、青龍洞と見て、次は玄武洞の左方向の白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞に向かいます。
園内は写真上の様に歩道が整備され、石段や石垣などにも柱状節理が利用され、この地にとっては欠かせない重要な資源だったのが分かる。
下
白虎洞全景と解説板。
白虎洞。
こちらは正面は横に流れ、左方向はこちらを向いて流れたようで、石垣でも積んだかのように綺麗な多角形の断面が整列している。
こうした岩は採掘が容易なのかも知れないが、常に危険が付きまとう命がけの作業だっただろう。
現在も経年劣化や地震等で部分的な崩落は起き、青龍洞などでは崩落した柱状節理が池に堆積している光景が見られ、今も山全体が蠢いているようだ。
白虎洞解説。
白虎洞から左に進むと南朱雀洞。
こちらはこれまで見た綺麗な多角形の節理の姿はあまり目に付かない。
解説によると溶岩の先端にあたる部分で、固まった先端部分からトコロテンの様に次々に溶岩が吹き出た事からこの様な形状になったのだと云う。
この正体は誰よ。
南朱雀洞解説。
南朱雀洞から少し下がった左方向に北朱雀洞があります。
正面に石垣の様に断面が現れ、奥には柱状節理がはっきりと表れていて、南朱雀洞と似てはいますがここはまた表情が違います。
玄武洞、青龍洞、白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞と見て廻ると1時間程。
訪れたのが10/26、紅葉には早かった。
周囲が紅葉で染まると更に美しく神秘的な光景を魅せてくれるでしょう。
展望台から見る円山川に山陰本線を走る列車が写り込む、右方向は城崎温泉方向になります。
玄武洞公園から円山川河畔に下りて見ました。
先ほどまでは手前に水鳥が群れ、対岸の列車と手前の渡し船を一枚に収めようと待っていたが、列車が来た頃には群れはいない、残念な写真だ。
渡し船は対岸の山陰本線玄武洞駅から玄武洞を渡すもので、風波の影響が欠航しななければ、この船で円山川を渡れるようです。
圧倒的な自然の造形美が日常の雑念を解き放ってくれる。
玄武洞(げんぶどう)公園・成田不動尊
所在地 / 兵庫県豊岡市赤石1362
玄武洞ミュージアム営業時間・入場料金 / 9:00~17:00・大人800円
駐車場 / 玄武洞ミュージアム、公園、玄武洞観光センターなど3カ所あり
公共交通機関アクセス / JR城崎温泉駅から車で10分程、山陰本線玄武洞駅から渡船がありますが欠航が多いようです。