今西酒造本店(奈良県桜井市三輪)

2023/04/04
奈良県多武峰、明日香村方面に訪れた際の帰り道。桜井市三輪の大神神社付近に寄り道。
三輪といえばそうめんや大神神社の印象が強いですが、目的は酒蔵にあります。

奈良県桜井市三輪の大神神社大鳥居、いつみても大きな鳥居です。
この場所の無料駐車場に車を停めましたが、以前コロナ禍の際に訪れた時でさえ、大鳥居から社殿に近い駐車場に入れるため、長い車列が出来、歩道は参拝者で溢れていました。
平日とはいえ、アフターコロナで嘸かし海外から訪れた多くの観光客で賑わっているかと思いきや、拍子抜けする程閑散としていたのには意外でした。

酒蔵前の通りは生活道路で幅員も狭く、尚且つ酒蔵の駐車場が分からない事もあり、いつものようにここに車を停め、参道の一本南に鎮座する綱越神社から、並行して伸びる三輪街道を東に進み、目的地今西酒造本店に向かいました。
駐車場から寄り道しなければ10分もからないと思います。

古い道標や神社、宿場町の雰囲気が漂う街並みを眺めながら今西酒造本店に到着。
訪れた時は仕込みで使う酒米を搬入する作業で大忙し。

裳階屋根の店舗入口。
入店するのも気が引ける状態、ここから奥の仕込み蔵まで人出で搬入されている。
三諸杉の銘柄で知られ、1660年にこの地で酒造りをはじめ創業360年の老舗酒蔵。
日本酒の歴史は諸説ありますが、縄文時代後期から弥生時代には日本に稲作が伝わっており、米を原料とする酒の原形もその頃とされ、今から2000年位は遡るとも云われるようです。
実りを授けてくれた神様に米が供えられますが、その米がいつしか変色して行く過程から酒造りに転じて行ったようで、やがて神に酒を捧げる様になっていきます。

その酒造りの起源が三輪から始まったといわれるようです。
三輪にある大神神社は日本最古の神社とされ、本殿を持たず、三輪山をご神体とする神社で、三輪山は古来から三諸山と呼ばれ、「うま酒みむろの山」と称され、「みむろ」は酒のもとの意味で、 酒の神様としての信仰からの呼び名だとされます。
大神神社では毎年11月14日に全国から蔵元・杜氏が集まり「醸造祈願祭」が行われます。

酒蔵の軒先に吊るされている「杉玉」は大神神社から全国の酒蔵に届けられていると言います。
その証に「新酒できたよ」の合図として酒蔵で吊るされる杉玉、その下に吊るされている札には「三輪明神・しるしの杉玉」と書かれていると言います。
気にして見た事はないが、これからはそうした目線で見てみようと思います。
青々とした杉の色合いは、一年かけて徐々に茶色に変色し、それが酒の熟成具合を現している云われます。

銘柄の三諸杉の由来は、古来より三輪山を「三諸山(ミムロヤマ)」と称していた事や三輪山は「杉」に神様が宿るとされている事からきているそうです。

西酒造では自社田での米作りの他、契約農家による米を使用し、特に「みむろ杉 木桶菩提酛」に用いる酒米奈良県産の自社田・契約栽培米のみを使用する拘りを持っているようです。

店内の今西の暖簾。
この蔵では今では少なくなった杉の木桶を使用し、木桶に宿る微生物が生み出す複雑味と香りを生かし全て手作業による酒造りをしているようです。

三諸杉店内では当然店頭販売もされており、試飲も出来ると思われます。

「・・・思われます」、車で来ている以上飲めるはずもなく。

こちらの酒蔵を訪れる動機となったのが、2021年の暮れに唐招提寺へ訪れた際に怪しい酒屋で出逢った上の「三諸杉 濁り酒」が始まり。
今回4月だというのにひょっとして残っているのでは?
なんて期待を抱いて訪れたものの「本物のとぶある?」と尋ねて見るも「12月には全て完売」との答え。
そうだよねぇ、今年はその時期に買い出しにこよう。

今回こちらで手に入れたのが上の「春酒ものがたり 純米吟醸 無濾過生原酒 おりがらみ」
ほんのり白濁し、グラスに注ぐと僅かに発泡し、濁りやどぶとも違った名の通り春らしい爽やかな飲み心地のお酒で、ここの酒は我が家の嗜好と相性がいいようです。

西酒造本店
所在地 / ​奈良県桜井市三輪510
2023/04/04
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