滋賀県の酒金亀 『岡村本家』

滋賀県犬上郡豊郷町吉田「岡村本家」
この辺りを訪れると「金亀」の銘柄をよく見かけます。
自分も彦根を訪れた際、口にする機会がありそのフルーティーな飲み心地と香りが気に入り買って帰ったのを覚えています。
今回、滋賀県の酒蔵を巡るツアーの中に「岡村本家」が含まれており、一度は訪れて見たかったので願ったり叶ったり。

東に鈴鹿山系を望み、そこを源にする愛知川がすぐ西を流れています。
琵琶湖に向かって広がる平野の東寄りに「岡村本家」の蔵が立っています。
岡村本家は安政元年(1854)に彦根藩主井伊大老より酒造りを命じられて創業を始め、金亀や大星の銘柄で知られ、地元では好まれています。

岡村本家は昔ながらの古い外観で、紫の暖簾が目印です。

岡村本家のある吉田は往古は善田と呼ばれていたそうで、一帯は良質な近江米の産地で伊吹山の寒風が吹く酒造り適した風土に恵まれ、使われる米もこの地域の米に拘っているようです。

暖簾をくぐると店内は酒好きにはたまらない香りに満たされています。

店内には製品が展示され、ツアー客には大盤振る舞いで試飲をさせてもらえます。
そんな店内で目に入ったのが写真の岡村本家の歴史。
岡村本家は旧大星岡村本店として創業が始まり、創業者の岡村家を遡ると源頼朝に仕えた佐々木定綱、高綱にまで遡るようです。
始まりは「安政元年(1854)、八代多内酒造業創始者彦根藩に仕えていたため、酒造りは弟の平四郎名義で、年貢米の代わりに酒造りを始め、金納と酒税を納めた。」から始まり、現在に至る迄の沿革が記されています。

店内の蔵の入口に祀られた神棚。
古い建物には酒を育む妖精もいれば神もいる。

商品の一部です。
こちらの商品のラベルには40から90の数字が記されており、お米の磨き(精米歩合)を表しています。数値が低ければ低いほど、それだけ磨かれている目安になります。個人の好みにもよりますが、精米度が高ければ美味しいとは限らないのが日本酒だと思います。
特徴は色味を残して旨味を感じさせる味わいがあります。
こちらの搾りの行程は、フィルターを介し、機械で圧縮し絞り切ってしまうものではなく、1枚ずつ袋に入れて搾る「木艚袋搾り」で搾る製法を用いています。
歩留まりも落ちて人手もかかるものですが、敢えて機械化し効率化をしないのがこの蔵のこだわりとして受け継がれています。
沢山の種類を試飲させてもらい、こちらでは写真のしぼりたてと背番号40を購入しました。
にごりも期待しましたが、試飲の印象が好みではなかったので見送りました。

機械化、コンピュータ管理され、省人化されたプラントから生み出されるものは、いつ飲んでも安定した製品を生み出してくれます。
しかし、少し味気ないと感じることもあります、人が多く介在することは、技術の伝承も次の人材育成にも繋がると思いますし、味わいも変わって良いものだと思っています。
我家の味噌汁なんか作り手のその日の気分で微妙にかわります、それがまたいいものです。
多くの人の手を介在した製品の方が味わい深いものだと思っています。

古くから伝わる酒蔵には妖精や神がいて、その年の味わいを調整してくれています。

「岡村本家」
所在地 / ​滋賀県犬上郡豊郷町吉田100番地
訪問日 / 2022/12/27
名古屋から車アクセス / ​名神高速「湖東三山スマートIC」より車で約10分