『如意山 宝珠院 常楽寺』名古屋市中川区荒子

如意山 宝珠院 常楽寺
前回掲載した冨士大権現 天満天神宮から​北西に徒歩15分程の県道29号線の南に鎮座する寺院。

上は大正初期の宝珠院鎮座地周辺。
当時の愛知郡荒子村大字中郷の高畑の西、寺脇集落の北の田畑の中に鎮座しています。

名古屋七福神巡りの大黒天のお寺として知られ、1月7日の七草の日までに、7つの幸福を与える7人の神々をお祀りしたお寺を参拝する事で福運が得られるものだそうです。
過去に一度七福神巡りで訪れた事がありますが、調べて見れば2017年と随分久し振りに訪れた。
今回は七福神ではなく、前田利家の所縁の地を巡るコースに含まれていた。

名古屋西部県税事務所の西側に宝珠院の仁王門、山門が連なっています。
「税」で「うすうす思い出した」が、確定申告まだ済ませていなかったなぁ、なんだかやる気がしない。

宝珠院仁王門。
この通りを左進むと山門が建っています。
コースに宝珠院が組み込まれたのは、仁王門右にある歌碑を読み取り、問題の空白を埋め完成させるもの。
かみさんはこの歌碑を見つけられず境内を彷徨い、お寺の方に歌碑の場所を教えて頂いた。
その際「最近この碑を見に訪れる方が多いがなんなの?」と質問されたとか、どうやらイベント側とチェックポイントに選定された場所とは事前に共有されていない印象。

仁王門から本堂の眺め。

左右の間に安置されている仁王像。
宝珠院の開創は古く、奈良時代天平元年(729)に泰澄大師が開創した古刹。
寄木造の二体の像もかなり年季の入った風貌のもので、随所に補修が加えられていますが、なぜか市・県の文化財一覧に挙げられておらず、制作年代や作者など詳細は不明です。

仁王門から眺める本堂全景。
入母屋瓦葺で千鳥破風、軒唐破風の付く堂々とした建物で、堂内には本尊の薬師如来はじめ、大黒天、弘法大師、泰澄大師像、五大明王像、弁財天が安置されています。

境内右の仏足石と百度石。
宝珠院は弘法大師誓願道場「名古屋二十一大師霊場巡り」の第十一番札所。

本堂左の水かけ不動尊(左)と亀の甲羅の上の七福神

水かけ不動尊は、体の病んだ部分に水をかけ、祈願する事で改善されると言われています。
歳を重ねるとかける箇所も増え、全身かけたくなってくる。

本堂破風の連なり。

本堂の寺号額。

宝珠院の先に書いたように奈良時代天平元年(729)に泰澄大師が開創したと伝わります。
往時は6坊を有したが、文和年中(1352~1356)の火災で三坊を焼失、後に宝珠院、東蔵院、光明院を再建するも、明暦年中(1655~1658)に再び火災に遭い、東蔵院は廃絶となり、ここ宝珠院と南に鎮座する光明院のみとなる。
泰澄大師といえば加賀白山を開山したことで良く知られます。

宝珠院について尾張名所図会、尾張誌、名古屋市史で調べてみたが詳細な記述は見つけられなかった。
中川区史跡散策路の宝珠院解説は以下のものでした。
奈良時代天平元年(729年)に泰澄大師が開創した郷土の古刹である。
伊勢湾台風の被害を受けているが仁王像は鎌倉時代の作と言われており、歴史を感じる。
境内は名古屋市の保存樹である五葉松の大樹などの庭園を含め特別緑地保全地区に指定されており、四季折々、鳥のさえずる憩いの寺でもある」

これによれば仁王門の像の制作年代は鎌倉時代(1185~1333)とあり、文和年中の火災以降に彫られたものだろうか。

楠の一木造りの大黒天、じつにいい表情でこうありたいものです。(2017年撮影)

…そうありたいんだがねぇ、これを書きながら国会中継を聞いていますがついつい目は△になってくる。

本堂左から客殿に続く中門と左の鐘楼。

建立年代は詳らかではありませんが、2017年当時と比較して大きな違いはないようです。
また、手入れの行き届いた庭園も当時と何ら変わっていない。

温かい陽射しを受けて横になる寝弘法。
庭園には他に修行大師、摩尼車など安置されています。

境内北側の寄棟瓦葺の客殿全景、大棟の金色に輝く鴟尾(しび)が印象的な建物です。
鴟尾は鯱や鬼瓦の原形ともいわれ、鴟尾そのものも意匠は時代により様々なようです。
建物を自然災害から守る目的から棟に飾られたもので、一説によれば鳳凰の羽を模したものから始まり、意匠が変化していったとも云われるようです。

金堂から眺める山門と十三重石塔

重厚な山門の正面全景。

山門の山号額。

道路から山門・客殿の眺め。
7世紀以上の歴史を誇り、幾多の自然災害を乗り越えて今も続く古刹なので、利家もひょっとして訪れているやもしれない。

山門左には札所の石標。

宝珠院
宗派 / 真言宗智山派
創建 / 天平元年(729)
開基 / 泰澄大師
山号 / 如意山
寺号 / 常楽寺
院号 / 宝珠院
本尊 / 薬師如来
札所 / 名古屋二十一大師11番札所、東海三十六不動尊霊場13番札所、名古屋三弘法第一番札所、名古屋七福神(大黒天)
所在地 / 名古屋市中川区中郷1-11
参拝日 / 2024/02/14
冨士大権現 天満天神宮から宝珠院 / ​北西に15分程
公共交通機関 / 地下鉄東山線「高畑」から​西へ徒歩10分
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2017名古屋七福神巡り