ツアーバスで巡る「早春の美濃・高山の酒蔵」

2月8日、今年初めての酒飲みツアーに参加してきました。
1月に越前方向の手漉き和紙体験と神社に行くツアーを予約していました。
ところが最強寒波の影響で中止となった事もあり代替にこのツアーに参加を決めたもの。

内容は美濃の一蔵に立ち寄り、海外からの観光客で賑わう高山市内へ、酒を求め徘徊する酒飲みを解き放つツアー。
コースには二蔵の酒蔵見学が含まれていましたが、どちらも仕込み中で蔵の中は見学できずやや残念。
とはいえ団体故に試飲をさせてもらえる特典はつく。
お国からの補助と一人2k円のクーポンと昼食が付く。
車で酒蔵巡りもいいけれど高速・燃料費・駐車場代・食事代を考えるとお得感がある。
そもそも自分が飲めないのに車で酒蔵巡りなどありえない。

9:50美濃市相生町の小坂酒造場到着。

卯建(うだつ)や美濃和紙で知られ、風情のある古い街並みが残る。
何度か訪れた事のある酒蔵でフルーティーな香り高い酒と卯建の上がる建屋が印象に残る。

美濃市のほゞ中心に位置する小坂酒造場、江戸時代から酒造業を営んできた旧家。
祈祷札の中に安永2年(1773)と記されたものもあり、安永初年頃と推定される卯建構えの町家。

この店舗そのものが国の重要文化財「小坂家住宅」として指定を受けている。
母屋外観は緩やかなむくり(上方へ反る)屋根で奥の酒蔵までは江戸時代の建屋。
左右の卯建は本来は中央にもあったそうですが、明治時代に取り除かれたようです。
昭和57・58年にわたり半解体修理されたものが現在の姿。

卯建(うだつ)。
切妻平入りの町屋が軒を連ねる事から、漆喰の妻壁を棟より一段高くして両端の延焼を防いだ防火を目的としたもの。
…だったはずのものがいつしか成功の象徴的な装飾に変って行った。
むくり屋根に合わせた滑らかな曲線は綺麗なもの、見ようによっては爬虫類や節足動物を想像させる。

杉玉、…酒あるよ。

店舗入口。
酒名の百春は「飲む人がお酒を楽しみ、健康で百たびの春を迎えられるように」との事からこの名が付けたとされる創業二百数十年の老舗酒蔵。

長良川の伏流水を使用し仕込まれた酒は、どれも香り高く多様な味わいを持つものが多く、すっきりした辛口を好む我が家に合うお酒が多い。

中庭から眺める酒蔵の象徴、煙突。
煙突があれば銭湯か酒蔵と決め込んでいる。

僅かな滞在時間で二種類を気が済むまで試飲する事が出来た。
時期的に写真の「新酒しぼりたて生」がすっきりした喉越しで飲みやすかった。
スペックと印象は必ずしも一致しないし、価格や数値で選んだことはないけれど因みにスペックは以下。

決め手は「嗅いで飲む」に尽きる、試飲できない酒はあまり買わない。
日本酒のイベントでもよく出店していたりするので馴染みのある蔵元かもしれません。


車の場合はここから東へ徒歩5分程の観光ふれあい広場駐車場に駐車すると便利。
大阪生まれの話好きな可愛いおばあちゃんが出迎えてくるはず。
ツアーは始まったばかり、今一つエンジンが温まらないが、次の場所までよろしく。


小坂酒造場
受付時間 / 10:00〜17:00
所在地 / ​岐阜県美濃市相生町2267番地

岐阜県美濃市の小坂酒造場から始まったツアーは、目的地高山まであと少しの所までやってきました。
美濃では晴れていた空模様も雪雲が垂れこめてきた。

高山に繰り出す前に飛騨高山まつりの森で昼食を頂く。
広い駐車場を持て余すかのように駐車場はガラガラの状態。

まだまだ山には雪は残り、駐車場の片隅にも除雪した雪が山のように積み重なっている。

ツアーの昼食はすき焼き。
昼にしてはボリュームがあり、ツアーの食事にしては肉も予想以上の質の良さ。
これだけ並ぶとやはり飲みたくなる、ここはビールで乾杯。

飛騨高山は、岐阜県北部に位置する歴史と自然に恵まれた観光地で、戦国時代には飛騨を平定した金森長近により城下町が形成され、飛騨の政治・経済の中心地として栄えてきました。
江戸時代の面影を留めた商家や、歴史の中から生まれ受け継がれてきた高山祭などの伝統行事、飛騨の匠で知られる伝統工芸などが継承されるなど、飛騨の小京都とも言われ海外からの観光客で賑わっています。

市内を宮川が流れ、高山の古い町並みには高山陣屋や合掌造りの民家を移築した飛騨の里など日本の原風景を感じることができる他、高山ラーメンやみたらし団子などの多様なB級グルメなど楽しめます。
飛騨高山は日本酒の産地でもあり、200年以上の歴史を持つ酒蔵が数多くあります。

伝統的な技術と地元の水や米を用い造られた酒は、多くの愛好家の喉を潤わせてきました。
今回は飛騨高山の古い町並みにある五つの酒蔵(舩坂酒造、原田酒造、二木酒造、平田酒造、平瀬酒造)を掲載します。
上は三之町の光景、国内に留まらず海外から訪れた多くの観光客で賑わっていました。

今回バスツアーで高山を訪れましたが、ツアーの中に舩坂酒造店の試飲見学が含まれており、こちらの中庭で試飲させていただけました。

舩坂酒造は、高山の上三之町で200年以上続く酒蔵で、大文屋として酒造りが始まったそうです。
代表銘柄は深山菊や甚五郎などです。
店舗入り口には飲兵衛横丁があり、有料のコインサーバーから色々な銘柄を楽しむことができます。

ツアー用の試飲として出してくれたのが「しぼりたて生酒 深山菊」と「ゆず酒 ゆず兵衛」の二つです。冬「しぼりたて生酒 深山菊」は冬の醸造の一番最初に作られる酒。
この酒の出来栄えがその一年の酒質を知るバロメーターになるとされます。
「ゆず酒 ゆず兵衛」は日本酒とゆず果汁をブレンドしたリキュールで、女性に好まれる味わいかもしれません。
舩坂酒造店
所在地 / ​岐阜県高山市上三之町105

舩坂酒造で試飲を終えると、ここからフリータイムとなり其々の高山を目指し解き放たれる。
我家は主に酒蔵を巡る。

原田酒造場。
舩坂酒造店と道を挟んだ向かいにあり、江戸末期の安政2年(1855)に、徳川幕府直轄地「飛騨」の旧城下町「三之町」で酒造業を始めた蔵元。
元々は国府の庄屋で、灘・伏見の酒造りに注目した初代当主・打江屋長五郎が酒造業を営んだことに始まり、銘柄の山車(さんしゃ)は高山祭の山車からきている。
酵母に拘りを持っており、多様な花から得られた花酵母を用いた酒や酒を用いた地酒チーズケーキなど個性豊かな製品を提供している。

原田酒造場
所在地 / ​岐阜県高山市上三之町10

上二之町にある二木酒造、創業元禄8年の酒蔵で玉乃井、氷室の名は個人的に馴染みのある銘柄。

暖簾の左に加賀屋の屋号が書かれていますが、初代当主が石川県出身だったことから加賀屋の屋号を付けたようです。
 
玉乃井の名は、建物の中央にある井戸水を酒造りの仕込みに使っていたことに由来するようで、明治初めの大火で建物の大部分を消失したそうですが、江戸時代の図面をもとに再建されたのが現在の姿。

こちらでも有料試飲ができます、但し12:00から13:00と16:00以降は受付していないようです。
二木酒造
所在地 / ​岐阜県高山市上二之町40

二木酒造から通りを少し北に進んだ左にある平田酒造場。
飛騨の華の銘柄は見かけた事はあったが、味わう機会がなく蔵元も初めて訪れました。
無料で試飲も出来るので品定めして買う事ができます。

平田酒造場のルーツは江戸時代に飛騨高山の中心部で鬢付け油とろうそく屋を営む商家の5代目当主が、明治に入り酒造業を始めたそうで、今回訪れた蔵元では比較的創業は新しいようです。
試飲させて頂いた「極辛口 特別純米酒 飛騨の華」は日本酒らしく自分には合っていたが、かみさんの好みではなく、自分用に小瓶を買い求める。
平田酒造場
所在地 / ​岐阜県高山市上二之町43

平瀬酒造所。
創業年代は定かではないようですが、江戸時代の造酒屋帳の高山の造酒屋56軒の記載の中に平瀬の名が残ると言います。
久寿玉の語源は「薬玉」から由来し、百薬の長「久寿玉」に置き換えたものだとされます。
飛騨の国道沿いでは久寿玉の看板も良く見かけ、高山方面の民宿や旅館などでも良く口にするもので、飲みやすく、特に久寿玉の濁りは我が家では馴染みのあるものです。

平瀬酒造所販売店内の様子。

店内では平瀬酒造所を代表する銘柄から三種類を500円で試飲できるスペースもあり、思う存分きき酒を楽しめます。
今回はお酒に圧力をかけ搾る前の、自然に流れ出た生原酒の「あらばしり」と久寿玉特別純米「純米生酒」の2本を土産に買っていく事にした、リュックは既に酒で満杯状態。

平瀬酒造所
所在地 / ​岐阜県高山市上一之町82

上二之町にある川尻酒造所。
天保10年(1839)創業の飛騨正宗の銘柄で知られ、昔ながらの手作りを主体にした酒造りに拘り、熟成古酒に特化した製品を提供する蔵。
こちらも飲んだことはありませんが、古酒に特化した製品と聞くとみりんのような色身を帯びたものが多くなるのだろう。
有料試飲もありますが、高山でのフリータイムは1時間、見学は諦めて次回の楽しみにしておきます。
川尻酒造所
所在地 / ​岐阜県高山市上二之町68

バスに向かう道すがら、上二之町の「金乃こって牛」で飛騨牛握りを摘まんでバスに向かう。

上の品揃えの中からAを注文、店頭は長蛇の列で会話を聞いていると大半は海外からの観光客。
結構待たされ、手にした塩と醤油の二種類の握りはなかなか美味しく、昼を食べてそれ程時間も経っておらず、一人二貫は難しいと感じ一つを注文しシェアしたが、これが意外にペロッと行ける美味しいものでした。

これは竹炭塩の握り、酒のすすむ一品でした。
金乃こって牛
所在地 / ​岐阜県高山市上二之町76

高山での1時間の自由時間は実に短く感じます。
あわよくば高山東照宮参拝も考えていましたが、もう少し、せめて2時間は欲しいかな。

19:10に名駅に戻る事を考えれば致し方ないか。
それでもこの日だけで美濃の小坂酒造含め6蔵を巡り、其々味わうことが出来、土産も手に入れた。
帰りの渋滞を心配することなく、飲みながら帰れるのはバスツアーならではもの。
しかも一人2000円のクーポンと昼食が付く事を考えればお得なツアーだったと思います。

あれから時間も経ち、写真に残す前にほゞ飲み切ってしまい、写真に残す事ができたのこの二本のみ。
(右の白真弓は酒屋さんで買ったもの、まったりとして米の風味を感じられる飲みやすいにごりです)

またお値打ちなツアーがあれば買い出しに行く事にしよう。
ツアー日 / 2023/02/08