奈良県薬師寺「東塔初層特別開扉拝観」

奈良県の国宝薬師寺東塔。
2009年解体修理に着手してから12年、すべての工事を終え美しい姿を取り戻した。
そして現在「東塔初層特別開扉拝観」が開催されていると聞き、薬師寺唐招提寺拝観に絞り電車で奈良に行ってきました。

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乗換駅の大和八木駅までは近鉄特急の新型車輛「ひのとり」に乗車。
この車両は一度乗って見たかった、期待通りシートは快適、余裕のある座席間隔や乗り御心地。
快適な社内から眺める初冬の景色、そして景色を見ながら一杯楽しめるのも電車ならではのもの。
名古屋から薬師寺の玄関先西ノ京駅まで約2.5時間程の移動時間、駅から薬師寺は2~3分、とても近い。

薬師寺の特別共通割引券(1600円)を買い求め境内へ。
この券で東塔含めた白鳳伽藍、玄奘三蔵院伽藍、国宝水煙(西僧坊)、食堂(じきどう)など拝観できる。

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薬師寺西塔と修理を終えた東塔、二つの塔が並ぶ姿も漸くみられるようになった。
この改修の目玉は東塔の一番上部に聳える相輪の先端に施された水煙(すいえん)。
写真上手前が西塔、奥が東塔。
中が東塔水煙、下が西塔水煙の眺め。

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薬師寺1300年の歴史で初めて新調されたそうで、現在は創建以来最上部を飾ってきた白鳳の水煙は取り外され西僧坊で一般公開され間近に見ることができます。
ある意味1300年形を保ってきたこと自体が驚きでもある。
緻密な透かし彫りが施され、下部には横笛を吹く「笛吹童子」の姿がある。

開け放たれた東塔初層の扉、国宝の多宝塔の心柱や天井絵を間近で見る機会はなかなかないだろう。
薬師寺は創建以来幾度か戦禍や火災を経て金堂、講堂、中門、僧坊などが焼失しています。
東塔だけは一度も焼け落ちる事無く今も当時の姿を留めています。

二つの塔、西塔と東塔は色や形、大きさも違います。
西塔は1528年、兵火によって金堂、講堂、中門、僧坊などとともに焼失。
再建も1981年と最近の事で、日本の木造建築の技術は何百年先を見据え造られていて、塔の高さや支える基壇の高さが東塔と違うのも木の収縮や重さにによる沈み込みを考え、これから時を重ねてゆくことでやがて東塔と同じ大きさになる様に考慮した結果です。
薬師寺の伽藍では鎌倉時代に再建された東院堂と東塔が最も古い建物となり、その後の伽藍復旧により現在の姿となっています。
それ以外にも金堂の国宝「仏足石」や仏像など国宝は満載、天眼鏡をお忘れなく。

食堂では田渕俊夫画伯の手による食堂の本尊「阿弥陀三尊浄土図」や全長50mに及ぶ14面の壁画「仏教伝来の道と薬師寺」を拝観できる他、玄奘三蔵院では画家平山郁夫が描いた、「大唐西域壁画」が拝観できる、そこには破壊される前のバーミヤン遺跡の姿も描かれいる。
薬師寺天武天皇勅願より680年(天武天皇9)の創建、本尊は薬師三尊。

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薬師寺 玄奘三蔵

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唐招提寺
薬師寺の北、徒歩10分程の唐招提寺(写真は国宝の金堂)
天平宝字3年(759)唐僧鑑真により創建され、1998年に古都奈良の文化財の一部として、ユネスコ世界遺産に登録されている。本尊は廬舎那仏。

こちらも薬師寺以上に見応えがあるかもしれない。
特に金堂の国宝仏像群の中でも開山 鑑真や千手観音は必見だろう。
天眼鏡で先に見たかみさんは、後から訪れた自分に天眼鏡でみるべきと差し出してくれる程、見る者に感動を与えるほどの魅力がある。
天眼鏡で細部を見て行くと、それらを形にしようとした人の強烈なエネルギーが伝わってくる。
(写真は金堂前から見える廬舎那仏)

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鑑真和上御廟
境内北東の最深部にあり、森と池に包まれた静寂な空間に鑑真和上御廟があります。
土壁の続く小さな門から一歩踏み入れると、杉林の中にベルベットのような質感の一面苔に覆われた空間が広がり、鑑真和上の廟はその正面にあります。
唐招提寺を訪れた際は伽藍のみならず、見事な土壁が続く境内をぐるっと回る事をお勧めします。
薬師寺とは違った、緑の中に佇む歴史ある伽藍の姿を見ることが出来ます。

どちらも大きな伽藍。
日帰りの場合、多くの目的地を入れない方が余裕が持てるかと。
夕陽に照らされた薬師寺も見たかったがいいポイントが見つからず、遅い昼ご飯と地元の酒(試飲ができるのも電車移動の魅力)を買い求め帰途に着く。
2021/12/21

薬師寺

唐招提寺
所在地 / 奈良県奈良市五条町13-46

公共交通機関アクセス / 近鉄名古屋駅➡大和八木乗り換え➡西ノ京駅降車➡徒歩2~3分
所要時間約2時間30分