天祖神社(大分県由布市湯布院町)

由布岳南西の麓にある金鱗湖、湖面から湧き上がる靄で知られる湖ですが。
湖の南東を眺めると、湖中から建つ鳥居が見えます、そこが天祖(てんそ)神社。

由布院の代名詞的な存在となった金鱗湖、湖底や周辺から僅かに温泉を含んだ湧水が湧き出し、気温が低い日は湖面一面が靄に覆われ幻想的な光景を見せてくれます。
日中気温が上がると靄は消え、普通の小さな湖の姿に戻ります、風がなければ湖面に景色が映りこんで別の美しさがあります。

訪れたのは10/27、この時期の湯布院の紅葉は色付き始めたくらいだろうか。
本格的に真紅に染まると赤い湖面に白い鳥居が綺麗だろう。
鳥居後方の建物が社殿で、石垣左側に小川が流れ込れ込んでいる。

天祖神社社頭。
石の明神鳥居に掛けられた額には「天祖神社」とある。
鳥居は天保7年(1836)に寄進されたもの。

境内左の手水舎、鉢には龍はいないが、由布岳から恵みの湧き水が注がれている。
奥は神楽殿だろうか。
対岸では韓国から訪れた観光客に写真撮影を依頼されることが多かったが、不思議に神社の方までは訪れないように見えた。

拝殿は銅葺屋根の入母屋造りで妻側に扉はなく開け放たれている。

拝殿軒下の由緒。
天祖神社
鎮座地 大分県誘因町大字川上字弓矢175番地
御祭神 天御中主命、素戔嗚男命、加具土命、事代主命
御由緒
第12代景行天皇御宇12年、速津媛に勅して皇祖霊神を祀りたるを当神社の創始となす。
明治9年村社に列せらる。」

景行天皇12年は先に掲載した宇奈岐日女神社と同年代の創始となる。
佇まいから想像できない気の遠くなる歴史を持っている神社。

拝殿から本殿方向。
格子扉の先に狛犬の姿があり、奥の本殿には中央に天祖神、向かって右に八坂神社、左に金刀比羅神社の三社が祀られていると云う。
参拝。

社殿全景。
入母屋銅板葺の鞘堂の中に本殿が祀られていますが全容は分からない。

棟の先端に突き出たこれ、舟の櫓に見えなくもない。
お目にかかるのは初めてかも知れない、シンプルでいいスタイルじゃないかな。
穂高神社の鰹木にも似ていますが呼称や用途は分からない。
置き千木や鰹木の様に一種の飾りだろうか。
鬼板の先端には左巴の紋が入っていました。

金鱗湖の湖中から建つ鳥居、この先から誰を向かえるものだろう、この金鱗湖に住む龍神だろうか。
この金鱗湖天祖神社の神域なのだろうか。

この鳥居は、ここから南東に少し離れた佛山寺境内に鎮座していた金刀比羅神社のもの、明治政府の神仏分離令に伴い境内から天祖神社遷座、移設されたもの。

往古の湯布院は湖だったとも云われ、そこを切り開いたとされるのが宇奈岐日女だとされる。

この湖はその名残なんだろうか、そんな妄想さえ広がる。
鳥居の上で羽を休める鵜の姿がある、これで湖面に靄が立っていれば神秘的な光景なんだが。
明日は早起きしてそんな光景に出会える事を願い、宿に戻って温泉に浸かろう。

翌朝の金鱗湖
湖は昨日の表情とは違う姿を見せてくれた。

対岸の天祖神社の鳥居も神秘的な趣をみせてくれました。
靄に包まれた水面に悠然と泳ぐ龍の姿…鵜だな。

天祖(てんそ)神社
創建 / 景行天皇12年(82)
祭神 / 天御中主命、素戔嗚男命、軻遇突智命事代主命
鎮座地 / ​大分県由布市湯布院町大字川上字弓矢175番地
参拝日 /2022/10/27
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