「猪毛利谷神社」

三重県いなべ市北勢町瀬木「猪毛利谷(いもりだに)神社。

員弁川支流鎌田川右岸にあたり、員弁川とはすぐ下流で交わる扇状地の端に鎮座します。
すぐ東には国道306号線が北に延び多賀方面に続く。

鎌田川右岸の社頭右に「猪毛利谷神社」の社標があり、社標から少し入って石の神明鳥居を構える
社地のすぐ左を鎌田川が流れ、堤沿いから社地を囲む様に杉を中心にした杜が取り囲んでいる。

訪れた時期は境内の桜の蕾が膨らみ始めた頃、針葉樹や常緑樹の緑ばかりで味気ないがタイミングが良ければここに桜のピンクが加わり華やかな事だろう。

一ノ鳥居の先にはニノ鳥居を構えるようだ。

常夜灯の先のニノ鳥居は1921年(大正10)の寄進。
三ノ鳥居まで構え、その先の拝殿が近づいてきた、奥に長い社地を有している。

三ノ鳥居は明神鳥居で、手前の狛犬がここから先の境内を守護する。
鳥居の額は石造で「猪毛利谷神社」と彫られている。

鳥居前の狛犬は子と玉を持つ。
やや垂れ耳で彫の深い毛並みを持ち、体格と頭の大きさの比率がいい凛々しい容姿の狛犬
子の姿も親に負けず格好がいい。

参道左の手水鉢、龍は不在で蛇口が付く。
以前は二脚の手水舎があったようだ。

伽藍は右に神饌所?、左の注連縄が張られた建物は見落としたようで詳細は分からない。
中央の拝殿は瓦葺の入母屋造りで木造のシックな佇まいの拝殿です。

拝殿から石垣で一段高く積まれた本殿域方向の眺め。

拝殿額は綺麗に木目の出た木製で「猪毛利谷神社」と記されている。
祭神は素盞嗚尊、伊香我色男命、大山祇神を祀るようですが創建等の詳細は不明。
創建には繋がらないが、調べている際に地元の方の話に辿り着いたので転載します。
・鎌田川はここから500㍍程下流で員弁川と合流している。
・慶安3年(1650)9月3日から9日までの長雨によって洪水が発生し、瀬木村は以後も度々水害に見舞われた。
・そのため、貞享2年(1685)に鎌田川、元禄年間(1688~1704)に員弁川の川替(流路変更)工事が行われ、現在の大きな弧を描く流れとなった。
・猪毛利谷神社の創祀は不明だが、明治3年瀬木村庄屋佐藤甚蔵の記録によれば、ある時、​猪名部神社​が川に流されて「いもり谷」に流れ着いた。
・・・とあった。

俄かには信じ難いが員弁川上流に鎮座する猪名部神社が過去に流されて来たのが猪毛利谷神社の始まりと取れる内容のものだ。
この地は古くから川と人が鬩ぎあってきた場所の様で、付け替えにより流路は大きく変えられた様だ。

上は1891年とほぼ現在の周辺の地図。

流路変更は更に上流の出来事、年代も違うのでこの地図では判別できないけれど、既に鳥居が記されている事から、創建は江戸時代に遡るのは間違いなさそうです。
「流れ着いて」ここに神社を新たに建て村の氏神としたとしてもあり得ない話ではないのかも。
​猪名部神社のHPにその記述は出てこなかったが、伊香我色男命を祀る等どこかで紐づくのかもしれない。

本殿域全景。

綺麗に積まれた石垣の上に作られた本殿域を玉垣が取り囲み、神明造の幣殿?と本殿が建てられている。
千木は内削ぎ、鰹木は6本、広々とした本殿域に建つ神明造はシンプルな美しさがある。
本殿域に年代を感じさせる狛犬がいたが撮り忘れていた。

ニノ鳥居から社頭の眺め。
社頭の先には鎌田橋と鎌田大橋の二つの橋が架かる。

社地の左を流れる鎌田川、ここから少し下れば員弁川に合流する、春の陽ざしに輝き穏やかに流れていた。
堤沿いはツルニチニチソウの紫の花が春の訪れを告げていた。

猪毛利谷神社
創建 / 不明
祭神 / 素盞嗚尊、伊香我色男命、大山祇神
境内社 / 不明
所在地 / ​​​​三重県いなべ市北勢町瀬木310
訪問日 / 2022/03/24
車アクセス / ​東名阪自動車道桑名ICから​北西に40分程
関連記事 / 

owari-nagoya55.hatenablog.com