『伝馬神明社』名古屋市南区豊2丁目

名古屋市南区豊2丁目
国道247号線の東、名鉄常滑線を挟み、西は内田橋、東が豊に分かれています
名鉄の高架が迫る傍らに「伝馬神明社」は鎮座します
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秋も深まり日暮れも早くなり、西陽のさす通りは人通りが少ない
高架が西陽を遮り、日暮れの訪れが尚更早く感じます
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遥か昔の熱田台地の南には海岸線が広がっていました、この辺りは新田開発とともに広がってきた地域
米の収量を上げるため自然と人の鬩ぎ合いの最前線でもあった場所です

南区の長三郎(ちょうざぶろう)新田の郷土碑解説​によれば以下
江戸時代の1696年(元禄9)に熱田伝馬役人が熱田宿駅伝馬の助成を目的に開発、新伝馬新田と呼ばれた
たびたびの地震、高波、暴風に修築費用がかさみ、1714年(正徳4)熱田材木町江戸屋長三郎が譲り受けた事から、のちに「長三郎新田」と呼ばれるようになった

今や田んぼはなく、電車や新幹線、住宅が広がり、昔この地がその様な場所であった事を覗う事すらできません、唯一人名のつく地名に名残りを残すくらいです
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伝馬町でもないのに伝馬神明社?となります

もとは愛知郡伝馬町から始まり、江戸時代は熱田村の一部
この地は旧東海道沿いにあったことから、1601年(慶長3)に宮宿(熱田宿)と隣の今道が共に伝馬役に任命されます、その際に両者は一つになり伝馬町と称したのが町名の由来

伝馬とは公的な人・情報・物資を迅速に移動させる事を目的として、街道の宿場に馬を常駐させる制度「伝馬制」を指します
各宿場にはその任に就く伝馬役人が置かれます、昔は宿場で馬を乗継いで移動時間の短縮を図った訳です
今で言えば馬の駅伝みたいなもの?

1878年(明治11)愛知郡熱田村の一部より、伝馬町が成立します、1889年(明治22)町村制施行・合併に伴い、愛知郡熱田町大字伝馬と変わります
そして1985年(昭和60) 南区伝馬町は同区内田橋二丁目となり消滅します
当時この場所は伝馬町だった事から、伝馬神明社と呼ばれることになります
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伝馬神明社鳥居からの全景
参道の先に拝所があり右に石鳥居、左に石鳥居と赤い鳥居が連なっているのが見えます
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境内全景
中央が神明社、拝所の右は天王社の石鳥居と参道中央に楠の大木が聳えています
左の鳥居から松山稲荷へと続きます
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境内の左に手水舎、手水鉢
龍の口から絶え間なく清水が注がれ澄んでいます
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神明社拝所全景、一段高く積まれた所に玉垣で囲われた社が見て取れます
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拝所前の狛犬は新しいもので、1928年(昭和3)奉納と刻まれています
新しいといっても90年を経ている、伝馬神明社は都市化に伴い二回遷座しているようです
狛犬は一回目の遷座の後に奉納された様です
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神明社
6本の鰹木が施された社です、背後の高架橋を赤い電車が行き交います
写真に入れたかったが待っていると来ないものです
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拝所の左は石鳥居を二つ構え、奥に赤い鳥居の連なる松山稲荷全景
鳥居左側には新田開発の歴史を伝えるもの、神社由緒の刻まれた碑などが纏められています
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一の鳥居に掲げられた社号額、この規模で二の鳥居まで構えています
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奉納鳥居をくぐりると社前で狐達が集団で祀られています、若干狐としてアピール不足な方も見えます
いつ頃奉納されたのか確認できませんでしたが、風化の度合いから見ると狛犬と同時期でしょうか
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松山稲荷社
稲荷には赤い電車が欲しかったが
祭神 / 倉稲魂神
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拝所の右は天王社
鳥居から続く参道のほぼ中央に御神木でしょうか?
楠木の巨木が聳えています
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幹の太さといい、枝振りといい見事な楠木、当然保存樹に指定されています
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天王社全景
4本の鰹木が施された小さな社、街中の神社らしく、背後に民家が迫ります
祭神 / 素戔嗚尊
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右から天王社、神明社、松山稲荷が綺麗に並んでいます
天王社と松山稲荷の創建時期ははっきりしない、遷座に伴い合祀を繰り返し現在の形になったのでしょう
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天王社前に置かれた3つの石、何か謂れでもあるのか?良くわかりません
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境内の右が伝馬公民館兼社務所、人の気配は有りませんでした
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神社社務所の東側に棟続きで建つ伝馬弘法堂
無垢の一枚板を用いた額は飾りのないシンプルなもの
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堂内
三鈷杵を持ち、雑念のない穏やかな表情で弘法大師が祀られています
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伝馬弘法堂から伝馬神明社の全景
それ程遅い時間でもないけれど、随分家路を急ぎたくなる雰囲気が漂う季節になってきました
2018/10/29

伝馬神明社
創建 /   1712年
祭神 / 天照大御神
住所 /  ​名古屋市南区豊2丁目3-16
アクセス / 名鉄常滑線豊田本町駅」から徒歩約5分程