『成願寺六所神社』名古屋市北区安井

『中切天神社』を後に15分程東へ向かいます。
途中、国道41号線を越え、川中町、成願寺町、安井町と嘗ての矢田川右岸堤防を沿いを歩く。
住宅街の中、高校を右手に見ながら進むと市営住宅の先に大きな楠が聳え立つ六所神社の杜が見えてくる。

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上の地図からも中切の神明社と天神社が矢田川右岸堤防、今回の六所神社(黄色マーカー)もその近くに鎮座している事がよく分かる。

左の地図に六所神社が現れるのは1932年頃からでそれ以前に鳥居の印はない、神明社や天神社と少し状況が違うようです。

見ての通り川中村は庄内川矢田川に挟まれ、流れを変える以前は福徳、中切、六所神社が鎮座する成願寺は川中村の南に位置し三郷地区と呼ばれていた。
立地から常に氾濫に悩まされていたのは容易に分かる。
そうした立地で住まうため水屋造りや輪中など必然的に生まれたものだろう。
河原は砂が堆積し河床が上がり堤防はそれに合わせて高さを増す。川と人の鬩ぎあいは終わる事はない。
流路を変えた嘗ての矢田川、付け替えが終わった昭和初期の航空写真を見ると河床の痕跡が見て取れ、そこに新しい街の開発が進んでいくのがよく分かり、年と共にその痕跡も薄れてきている。
この一帯は矢田川庄内川の河原で見かける白い砂が堆積したその上に出来た町といっても過言ではない。

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六社神社北側の眺め。
角の取れた丸石が積まれ、その上に玉垣に囲われた社地が広がる。

社地東側の脇参道の神明鳥居。
正参道は更に左に進んだ成願寺公園にある。

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成願寺公園内の北側が六所神社の社頭。
中切の神明社や天神社のような明らかに高く盛られた感じはない。
矢田川の堤に鎮座していたとすると、園内からいきなり続くこの参道、南側へ更に伸びていたとは思えない。南側は矢田川河畔に続く河原だったはずだ。
公園や境内は目の細かな砂が多く、子供たちが駆け回るには優しい環境かもしれない。
そんな中に社頭があるなんて良いんじゃないだろうか。
どこに行っても社頭の前は車が行き交い、子供を連れ立って神社探検と思っても目が離せない、ここなら子供も安心して解き放てられる。

f:id:owari-nagoya55:20220223153800j:plain公園から続く石段、鳥居右に「六所神社」社標が建ち、神明鳥居をくぐった境内左に手水舎、社務所、社殿の伽藍。

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手水舎、ここも龍はお休みだ。

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社殿は手前の瓦葺妻入り拝殿と渡殿で本殿に繋がり、南北に長い境内だ。

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社殿全景。

住宅地にあって貴重な杜が残るが、鬱蒼とした薄暗いものではなく、風通しも日差しも入る明るい境内。
社殿は近年建て替えられたようで新しく綺麗な外観。

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拝殿前の狛犬、寄進年度は見ていないがこれも比較的新しい。

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拝殿額は「六所社」
拝殿から本殿方向の眺め、神紋は橘のようだ。

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脇参道の鳥居とその脇の六所社由緒
「所在地 名古屋市北区成願寺町字西浦三六六番地
宗教法人設立 昭和二十七年九月二十日
本殿並に附属建物 新築工事完工 昭和四十四年一二月二十五日
祭神 伊邪那岐命伊邪那美命、天照皇大神、月讀命、蛭子命、須佐男命
合祀社 津島社、神明社、熊野社、山神社、水明社
例大祭 十月十日
記事
昭和六年矢田川切替工事の為現在地に遷ひ奉る、敷地内坪数476坪
昭和二十年五月十四日の大空襲により境内の建物等一切焼失した為、氏子崇敬者度々の努力に依り現在の崇高な社殿が建立された。」

六所神社そのものが工事対象にあたり、高く盛られた感がないのは流路を変えてできたこの地に遷座、社殿が新しいのも戦災後に再建されたためだ。
それ以前はとなると良く分からない。

f:id:owari-nagoya55:20220223154014j:plain本殿右の「成願寺町六所社」社標は恐らく遷座前のものだろうか。

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外削ぎの千木と5本の鰹木を持つ流造の本殿に妻入りの幣殿が一つになったコンクリート造り。

渡殿から拝殿。

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拝殿から社頭の成願寺公園の眺め。

成願寺町 六所神社
創建 / 不明(1969再建)
祭神 / 伊邪那岐命伊邪那美命、天照皇大神、月讀命、蛭子命、須佐男命
合祀社 / 津島社、神明社、熊野社、山神社、水明社
所在地 / 名古屋市北区安井2-14-32

中切天神社から徒歩ルート / ​東へ15分1㌔
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