波多神社から国道158号線を上高地方面へ。
国道と県道の分岐を右に県道300号線で乗鞍高原方向の白骨温泉郷に向かう。
分岐から5.6分程で県道の左斜面から盛んに水が流れ出る場所が現れる。
流れは主に三筋あり、これらを龍神の瀧と云うようだ。
車は少し上に駐車場があるのでそこに停めるといいでしょう。
駐車場から坂を下ると最初に見えるのがこの滝。
滝と呼ぶには大袈裟かもしれないが、水量が多ければ山の斜面を白く流れ落ちる姿は龍の様に見えなくもない。
更に下ると二つの流れがある。
一帯は石灰岩の山麗で少し下の温泉街は県道下を流れる湯川と湯沢が作り出した隧通しとよばれる天然洞穴があり、それは車が行き交う橋にもなっている。
この流れで注目したいのは、地下水が石灰岩の地層の隙間を溶かし、地表に露出し流れ出ているもので、この上に川は流れていない。
岩肌の二つの穴から地下水が絶え間なく湧き出てくる姿、昔も今も変わっていない。
傍らにある「龍神の滝」解説。
「地下水が石灰岩を溶かして鍾乳洞をつくりました。
地下水はいまでも無数の穴から白糸の垂れ水となって落下しています。
そのありさまは神秘的でさえあります。
昔からここに水神が住むと言われ、竜神の滝と呼ばれるようになりました。」
道路から湧出口まで行く事は出来ないが、大きく暗い穴の奥に龍が潜み、絶え間なく水を注いでいる、そんな気にもなってくる。
それにしても豊かな水を蓄えているものだ。
龍神の滝から県道を少し上ると「泡の湯」に到着。
以前に比べ立派な外観になった気もする。
悪路の続く長い林道を抜け開けた先に忽然と現れる、素朴な外観の方が秘湯の趣があった気もする。
当時はまだ宿の入口に秘湯の会の提灯が懸けられていたものだ、それから間もなくして泡の湯は脱会したという。
訪れたのが9月13日、下界では残暑が続く時期だが、ここまで来ると一足早い秋の訪れを感じる。
今頃は更に趣を増している事だろう。
左は昭和40年代の泡の湯旅館の外観。
現在に比べると風情豊かな秘湯の趣が漂うものだった、当時は共同トイレに洗面所だった設備も新館では各部屋に備えられ、ベットすら用意され時代に対応した不便のない施設に移り変わっていた。
当時の趣を求める向きには、本館に宿泊すると体感できます、当然ながら本館をチョイス。
入口の光景、この感じは以前の印象そのままのようだ。
ロビーからは樹々に包まれた露天風呂が一望。
源泉の温度は40℃を下回るので、ぬるいと感じる事間違いない。
炭酸を含むため意外に保温効果があり、変に加熱・加水された湯よりは入りやすい。
本館客室。
室内は三部屋あり全て畳張り、以前は布団だったが今はベット。
二人で一晩過ごすには十分すぎる。
一息ついて早速露天風呂(混浴)へ、女性には湯あみ着があり安心して入れる。
時折バスが通り、車窓から露天風呂が見渡せるが気にすることもない。
男性の内湯から直接露天に繋がるが、女性は内湯と露天用の脱衣所が分かれているので面倒くさいらしい。
周囲の樹々と湯口から流れ落ちる湯の音と僅かな硫黄の香り、久し振りに温泉らしい温泉を味わえる。
これで酒でもあればいつまでも浸かっていられる。
内湯入口には飲泉所があり一口飲んで見る事をお勧めしたい。
晩御飯の献立の一部。
過度に手を掛け素材の風味を失くしてしまう料理が多い中、安心して食べられるものばかりで自分にはありがたい。
地酒は大雪渓、大信州、七笑とあり、馴染みのない大信州の利き酒セットで今夜の酒を選ぶ。
お食事処。
こんな小奇麗なものが出来ていて個室でゆっくり食事が出来る。
食事を済ませ部屋に戻ると・・・
こりゃあ、もう一回風呂に浸かって二次会・・・
翌朝の散歩で駐車場前に泡の湯の看板を見かける。
その付近にバス停があり、傍らに「泡の湯バス停飲泉所」がある。
泡の湯バス停飲泉所。
目覚めの一杯には最適、一口で目が覚める。
白骨のような泉質だと、温泉の湧き出し口に白い炭酸カルシウムが堆積し、白い噴湯丘に成長していきます。
バス停から少し下がると天然記念物の解説があり、一帯には活動を終えた噴湯丘は100を超えると云う。
新泡の湯源泉。
含硫黄、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、炭酸水素塩温泉。
泉温37℃
飲用する場合は一回100~200ml以内、一日の摂取量200~1000mlまで。
15歳以下は知見なしのため原則避ける。
飲用適用症は痛風、糖尿病、慢性消化器病、肝臓病、便秘に有効。
朝食。
ご飯は先程の源泉を使用した温泉粥をリクエスト、これに梅干しがあれば、体の中を整えるには十分満足だが、朝から至れり尽くせりの料理を提供してくれた。
宿を発つ前に、もう一度白い湯を堪能してこよう。
泡の湯旅館。
未舗装が続く乗鞍スーパー林道は舗装され、軽でも容易に訪れる事が出来、秘湯だった頃の面影は薄れてしまったが、白くて温い湯は今も変わってはいなかった。
次回は木曽谷から走り切り、峠の朝焼けを眺めてみたいのだ。
因みに宿の子供達はスクールバスで当校していますが、ランドセルにはしっかりと熊鈴が結ばれていました。
周辺散策はお守り代わりに付けていた方がいい場所です。
泡の湯旅館
所在地 / 長野県松本市安曇4181
webサイト / http://www.awanoyu-ryokan.com/
宿泊日 / 2022/09/13~14
波多神社から車移動、国道158号線➡県道300号線 / 龍神の瀧まで約45分、泡の湯までは50分程
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